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エル・カザド #26(終)

エル・カザド Vol.4 【初回版】 [DVD]
優しい老夫婦の店で世話になりながら、平穏を謳歌するナディとエリス。
しかしそこに訪ねてきたブルーアイズとローゼンバーグそっくりさん、
そして巨大化復活を果たしたオカマコンビの巻き起こす騒動によって、
二人は改めて自分達の生き様を振り返る・・・。
Aパート終了時にローゼンバーグ復活か、と思わせて
実はそっくりさんでしたというオチをつけたり、
ラスボスがピザ化したオカマコンビだったり、
とてつもない脱力展開を続けながらそれでもしっかりと
ナディの物語に帰結させていく、ある意味非常に高度な構成の最終回。
実にこの作品らしいというか・・・この作品でしかあり得ない終わり方だなー。
このノリ、この雰囲気、この感触、まさにオンリーワン。
過去の真下アニメと比べても極めて特殊で、
本当に変わった作品だったなぁと感慨深くなってしまった。
たぶん同じスタッフでもう一度こういうの作ろうとしても無理なのでは?
美少女ガンアクション三部作のトリとして作られたはずなのに、
完全に別方向に突き抜けていってしまった・・・。
その一番の原因は、恐らくナディという主人公にあったのだろうと思う。
大して強くもなく、揺るぎない信念を見せるでもなく、
常にユルいが余裕がある大人の女などでは決してなく、
実はエリス以上に掴みどころがない。
結局、何でナディが賞金稼ぎになりエリスを守り抜こうと決めたのかは
はっきりとはわからない。エリスに情が移ったからとの説明で進んでいたが、
さすがにそれだけで人生の全てを賭けるには浅い。
で、この最終回でようやくそこの部分を少しだけ掘り下げたわけだが、
つまりナディというのは泣くほど平穏や人の優しさを求めながらも、
孤独に旅を続ける以外に輝く方法を知らない女なのだろうなぁ・・・。
エリスを守って旅を続けたのも、それが旅の理由として適当だったからで、
勿論エリスへの想いに嘘はないんだろうけどそれ以上に旅そのものが目的。
要は三度笠の旅ガラスって主人公像であって、
基本は時代劇なんだろうな、これ。
で、何かお奉行だか忍者軍団だかに追われるお姫様を守って戦い、
平穏を手に入れるもののお姫様に「あなたには旅が似合う」と言われて
最後は自由な旅に戻ると。南米舞台にそれをやったのが面白いところだが。
声優陣も他の作品とは少し違う演技に果敢に挑戦していて素晴らしかった。
特に宮野真守のLAは変なスイッチ入っちゃってて感動的ですらあった。
ローゼンバーグのそっくりさん出すなら、LAも最後に出して欲しかった・・・。
商業的にはあまり受けないだろうし、名作傑作とも言い難いが、
噛めば噛むほど味がでる珍味のような作品だった。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。