へたブロ~下手の考え休むに似たるのはてブロ~

なれのはて 過去感想は作品タイトルで検索してください

スポンサードリンク

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 TV版

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (EVANGELION:1.11) [Blu-ray]ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 オリジナルサウンドトラック SPECIAL EDITION1/8スケールPVC完成品 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破 真希波・マリ・イラストリアスemotion style 綾波レイ (ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破バージョン) (新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版)
「破」を公開中のタイミングで「序」を金曜ロードショーで初放送。
この枠で観るだけでサキエルカオナシに観える金ローマジックに驚いた・・・。
TV版としての改変部分は、タイトルのクレジット表記追加と
予告編の映像を「破」本編のものに差し変えただけとのこと。
宇多田ヒカルの主題歌もカットされてしまったのは残念。
個人的に、金曜ロードショー劇エヴァを観るということについては、
色々と複雑な感情もあったのだが、原作(TV版だとややこしいんで)の
再放送を観たりして自分のなかで考えを消化出来たこともあって、
放送前にはすっかり素直に楽しもうという精神状態を用意出来ていた。
で、映像やキャラの変化など細かいことはすでに語り尽くされているので
とりあえず素直に観ての率直な感想だけ書く。
普通に面白い。以上。
・・・と、いうか、本当に「普通に面白い」以外、言うことがない。
ただし、ここが非常にややこしいというか無駄に筆者が
ややこしく考えてしまっているだけなのかも知れないが、
普通に作られた結果「普通に面白い」わけじゃないのが凄く面白い。
つまり、原作でグチャグチャになっていた複雑な要素を
極めて的確かつ親切に交通整理して誰も道に迷わないように、
変な曲解・誤読・深読み・解釈飛躍・妄想拡大が
ほとんど起こらないように非常に気を遣いながらあらゆる情報が提示されていて、
「普通に面白い」という結論以外に到達しないようにシステムが出来上がっている。
これ、エンターテイメントとして当たり前といえば当たり前なんだけど、
エヴァ」でそれをやることの意義と困難さは言うまでもないだけに、
庵野秀明以下スタッフの能力と覚悟と成長には感心してしまったなぁ・・・。
しかし、それが「勝手な解釈」によって無秩序に広がり続けてきた
エヴァ」という存在をもう一度スタッフの手の内に取り戻して
一つに収束させる為にやっていることなのか、
むしろ逆に新たなスタンダードを示すことによって解釈を更に広げる
余地を与えようとしてやっているのかは「序」の段階では不明。
ただ、あくまで「序」の段階だけで考えるなら、
この物語状況はシンジにとっては決して好ましいものじゃない気がする。
確かに見た目的には、ミサトさんやレイとの絆をより深めて
シンジは原作よりも力強く英雄的な道を歩み出しているように見えるが、
それはメタ的にも作中における「シナリオ」的にも、
シンジを「そうなるように仕向けている」だけであって、
むしろ原作よりもシンジの自由は奪われ情と責任に雁字搦めに拘束されている。
シンジとレイの心の交流も、ミサトがシンジを励ますことも、
結局はシナリオのうちであることを追加シーンでぶっちゃけていながら、
それでもキャラ同士の関係性と感情は繋げた手と同じく真実なんだ・・・という
方向に感動の形を持っていっているのはわかるんだけど、
「普通に面白い」の陰に隠されたこの構造的な悪意に対して、
シンプルに「シンジは前向きになっていくんだな」とは信じられないというか。
ミサトが最後に責任込みとはいえシンジに賭けたのと同じように、
「破」ではたぶんその構造的悪意を打ち破る流れをより顕著に出して
シンジの「約束された成長」が更に加速していくことになるんだろうけど、
この構造ってラストのカヲルの言葉から察するに
恐ろしく根本的なものになっちゃってるはずなので、
ただ物語上でシンジが頑張ってどうなるものなんだという危惧はあるなぁ。
この新劇場版の世界が単なる原作の二周目、旧劇場版の続きではなく、
他のメディアミックスやそれこそスパロボ宇宙において
何度もループ構造を打ち破ってきたことまで含めてのものになるのなら、
そういう物語を飛び越えたキャラの強度みたいなものがフィードバックされて
想定された枠を脱却するって可能性はあるが・・・それをスタッフが
意図的に狙っているんだとするとそれはまた無謀じゃないかとも思うし・・・。
ともかく「破」は評判によると上手くはいっているようなので、
あとは四部作がどう落ち着くのかを気長に待つしかないのだろうなぁ。
あ、ちなみに筆者が「破」を観るかどうかですが、
物凄く観たいけど今の世間の熱狂のなかでは冷静に観られる自信がないので、
観るとしても終了間際にこっそりいくような感じになるかと思います。
それにしても観た人の感想がことごとく
「これは劇場の大画面で観ないと一生後悔しますよ」的な
タイトルの部分をトランスフォーマーリベンジに変えても
まったく同じじゃないかという文面で溢れているのが凄く気になる・・・。
「序」は実際観たら聞いていた話とは結構違ったので、
「破」も観る人の状況によって解釈変わるのかもなぁ。