この男子、宇宙人と戦えます。

AT-Xで無料放送された個人制作OVA。
監督の山本蒼美のことは知らなかったのだが、BL同人ゲームのムービーを作ったりで注目を集めた新進気鋭の女性作家とのこと。
公式サイトに９０年生まれとあるからまだ二十一か。「ほしのこえ」を見たのが中学生の頃というのは新世代って感じがするなぁ。
本編もまさに「ほしのこえ」の影響下にある内容。
同人マンガ的な手描きアニメと写実的な背景の融合、ライティングへのこだわりとセカイ系のど真ん中をいくストーリーと、正直今となっては目新しい要素はほとんどない。
ただ、それが「BL」と組み合わさると途端に独自の個性が生まれるから不思議。
直接的にボーイズラブの要素を強く打ち出しているわけでもないのだが、絵柄と声優とニュアンスが完全に狙い撃ち。
そして男三人だけの空間とセカイ系は意外と相性が良く、男女の関係なら悲劇で終わりそうなところを前向きにまとめていたのは面白かった。
メールが鍵になるクライマックスは「ぼくらのウォーゲーム」「サマーウォーズ」の細田守っぽい感じもあったな。
男三人しかいないようだったセカイがその瞬間、関係性で満ちていくという流れも純セカイ系から脱セカイ系へシフトしていくようで結構興味深かった。
すでに数多い個人制作アニメのなかでは無茶苦茶レベルが高いというわけでもないと思うのだが、それでも注目点の多い佳作だった。監督の今後の活躍には期待大。