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へたブロ~下手の考え休むに似たるのはてブロ~

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秒速5センチメートル

アニメ映画

秒速5センチメートル [Blu-ray]
BSフジの年明け五時間半ぶっ続け新海誠特番の最初に放送された劇場版第二作。
一般的には「ほしのこえ」「空のむこう、約束の場所」に続く三作目って認識が強そうだが。
三話構成で一人の男の恋愛を時系列に沿って描いていく、擬似オムニバス。というか三話構成だと思っていたら最後にいろんな意味でとんでもないものがやってきて観客の心を抉りまくる罠構成・・・!!
一話目は当時の新海誠に求められていたものが全て詰まっているかのような、美しく儚く優しい初恋の物語。
桜、雪、一人旅、ファーストキス、全てが世界の結晶であるかのように残酷で鮮烈で輝きに満ちている。とにかく映像として、物語として、これほど「初恋」を瑞々しく描き取った作品はそうはないであろうという完成度。
いやマジで、これで終わっていたらどんなに人生は素晴らしかっただろうかと・・・!!
しかし子どもは成長しないわけにはいかず、それは新海誠とて同じなわけであり、だからこそこの一話目の輝きは遠い幻のように永遠なのだ・・・。
で、二話目は種子島を舞台にした一人の少女の片思い失恋話。
一話目からのステップアップと対比を意図したのであろう設定と描写が多く、そういう意味ではもっとも「普通の」恋愛アニメっぽい。
ちゃんと失恋を通じて成長する少女の姿がここで描かれていることが、新海誠的にもこの作品においても非常に大きい・・・のだと、三話目を観てからしみじみ思い返す。
ある意味、世界全体に対する救いのような意味合いにもなってるんだろうなー。
それと種子島の情景を活かした演出がその後TVアニメで流行するご当地日常アニメのハシリになっているのも興味深い。
丁度、同じく種子島を舞台にした「ROBOTICS;NOTES」が放送されているのも景色の共通項がわかって面白いな。そもそもロボノはかなりこの作品意識してそうだし。
そして、三話目。
「げんじつ が あらわれた!」「げんじつ は やまざきまさよし を となえた!」「かんきゃく は こんらんしている!」「かんきゃく は しんでしまった!」
・・・簡単に表現するとそんな話。
演出意図は素晴らしい。三話形式を取って物語の成長と作家としての自身の成長を重ね合わせるような仕組みも文句なく見事。山崎まさよしの歌を使ったミュージッククリップ風の演出も完璧。
ただ、あまりにも演出が見事にハマり過ぎていて観客を瞬殺に持っていくのが凶悪極まりない!!
え、何これミュージッククリップ? え? 彼女婚約してんの? 男、無職? 学生時代のあのカッコ良さはどこへ? え? 彼女・・・婚約者と待ち合わせ・・・う、うわああああああああああ!!
この間、僅か三分くらいだからね。そりゃ前提知識なしじゃ耐えられないよね。
幸い今回は覚悟完了して観ていられたし、冷静に判断すればリアルな誠実さに溢れているのだが、初見だとこれはキツいだろうなぁ。
放送後のインタビューで当の新海誠が慎重に言葉を選びながらごめんなさいしていたのに笑ってしまった。
しかし、この裏切りがあったからこそ新海誠は新たなステージに進むことが出来たわけで、何だかんだでこの作品の持つ意義は深い。