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琴浦さん #11・12(終)

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11話。通り魔編の決着。
女刑事が二重人格者の犯人だったという点は予想通りだが、危機一髪のスリラー展開は予想以上の出来。
琴浦さんがフラフラと犯人の部屋に連れ込まれる流れは、わかっていても結構はらはらさせられたなー。
そして絶体絶命の危機に颯爽と現れる真鍋マジイケメン!! お前、もはやテレポーターだろ!?
しかし琴浦さんの境遇と対比させられる形での女刑事さんの事情については、少し掘り下げ不足で通り一遍のサイコキラー描写に終始してしまった印象。
原作だともっと鬼畜だったらしいので、あくまで日常に回帰させる為にこの程度で抑えたのかも知れないが。
あと、森谷さんの玉砕告白はそこだけ温度が別アニメみたいになってて、感動的なんだけどちょっと笑ってしまった。
ただ、男の方がこれっぽっちもブレないのは負け組ヒロインにとっても救いなのだと、他のアレコレを連想して深く思う・・・。


12話。ESP研の新たな出発と、琴浦母娘の和解を描いて最終回。
ラスボスママンとの最終決戦が、似たもの母娘の低レベルな親子ゲンカに昇華されていくのは非常に上手かった。
シリアスからコミカルへ切り替わる、この作品の最大の特徴がこのやりとりに凝縮されているようでもあったし、琴浦さんの成長もママンの本音も物語の結末として納得のいくものだった。
テレパス能力者の、実は上辺の思考を読んでいるだけで相手の本心は全然わかってないんじゃないかという疑問点をきれいに回収してみせていたのも感心。
能力の限界を認めることが大人へと成長していくことの証明になっているのも、超能力SFと日常のバランスが取れていてとても美しい。
そして何より、井上喜久子のヤサグレからの微デレへの塩梅が絶妙!!
この最終回は他にも、部長との対話や森谷さんとの関係など、琴浦さんとの「会話」での意思確認が効果的に使われていて、テーマの上でも見事に完成されてたなぁ。
っていうか、今まで真鍋が「好き」を口に出してはいなかったなんて伏線、まったく気づかなかった・・・!! エロスが煙幕になっていたのか!!
全体としても、とにかく脚本構成と視聴者の感情を誘導する演出コントロールの巧みさが飛び抜けた作品だった印象。
いわゆる「鬱展開」について、初っ端に強烈なのを放って耐性をつけさせておく発想はよく考えてみれば名作劇場的でむしろ原点回帰だったのかも知れないな。
いつの間にかシリアスに切り替える展開が「裏切り、驚き」の為に使われることが多くなっていたので、この作品のシリアスになると「きたきたきたー」とテンションが上がる感じは新鮮になってしまっていた。
勿論それは萌えモードの安定感あってのことでもあり、両輪をいかに回すかのバランス感覚は本当に素晴らしかった。
ずっとコメディとハートフルの境界線を攻め続けていた太田雅彦の、現時点での集大成になっていたと思う。
声優陣も両極端な雰囲気への対応にまったく不安がなかったのは見事。
今期最大のダークホースになるという初見の期待が、最後までまったく裏切られなかったことが一番嬉しい。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。