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【デレマス2nd速報感想】アイドルマスターシンデレラガールズ2nd第16話、それは死を賭してのメルヘンチェンジ!!

 

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 018 安部菜々

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 018 安部菜々

 

 

 君の青春は輝いているか?

 ほんとうの自分を隠してはいないか?

 

 シンデレラガールズ2ndシーズン16話。ウサミンこと永遠の十七歳、安部菜々回でした。しかし同時に、四人もの新たなサプライズボイス追加と待望の市原仁奈ちゃん本格参戦に脳がオーバーヒートを起こしてしまい、一度や二度の視聴ではその本質を掴めなかった人も多いのではないでしょうか?

 

 正直、自分は初見時は相当な誤読をしました。

 見ていて引っかかりを覚える箇所はあるものの、それが何を意味しているのかまで頭が回らなかった。結果として、一番重要なことを見落とした。

 

 

メルヘンチェーンジ!!

 

 前川みくの必死の「ミミミンミミミン、ウーサミン!!」のコールに応えて安部菜々が『ウサミン』としてその言葉を発した瞬間、自分は安易に喜んでしまった。

 それを本当の自分を取り戻す為の呪文だと思った。

 自分らしく生きる未来を勝ち取る為の宣言だと思った。

 だが違う。違うのだ。

 安部菜々はそのステージのあと、こう言った。

 

「最後にちゃんとウサミンでお仕事やりきれて、よかったです」

 

 死ぬ気だったんだよ、安部菜々は!!

 あのステージで『ウサミン』になることはアイドル生命を捨てることと同義だとわかっていて、それでもやったんだよ!!

 その言葉の真の意味について、恐らく前川みくは気付いていない。そしてあのシーンに感動した視聴者も違和感を抱いた視聴者も、同じように誤解をしている人がいるのではないか?

 なので順を追って、何で安部菜々はそこまで追い込まれていたのか、そしてそこまで追い込まれながら何故「最期の変身」を敢行したのかについて野暮ではありますが少し補足してみたいと思います。

 あくまで個人的な解釈に過ぎないのは言うまでもありませんし、見返すほどに新たな発見があり回が進むと過去の情報が次々塗り替えられるのがアニメ「シンデレラガールズ」なので、いつもながらあくまで第16話終了直後の熱に浮かされた文であることはご了承ください。

 

1・ウサミン星の環境

 

 まず最初に、すでに安部菜々はCDデビューしていることが明かされる。

 ここで熱心なモバマス(原作ゲーム)Pほど誤解を誘導されるのだが、デビューしているから順風満帆なわけではない。よく見ると部屋には自己啓発本やら「老い」に関する(アンチエイジング?)本やらが積み上げられ、CDの横にはサインペンがある。

 つまり、1stシーズンでシンデレラプロジェクトのメンバーがそうしていたのを反復する形で「デビュー直後のCDサイン書き」をしている。

 ようやく、夢に手が届きかけている。そこまできたが、身体はすでに悲鳴を上げていてギリギリの努力が続く。それが安部菜々の現在。

 

2・前川みくの勘違い

 

 次に、16話全体を貫く罠が張られる。

 前川みくはTVで「川島瑞樹の取材を受ける安部菜々」を目撃し、菜々ちゃんも売れてきているんだ、と思う。

 が、これは致命的に間違っている!!

 売れ始めているのは「ウサミン」なのだ、安部菜々ではない。

 そしてその売れ出している理由も、携帯ゲームの宣伝担当キャラに「ウサミン」が起用されたからであって別に安部菜々というアイドルの認知度が上がっているわけではない。

 恐らくだが、デビューCD(メルヘンデビュー)がゲームのタイアップ曲になって、そのおかげでCMやら宣伝番組やらで露出する機会が増えたということではないかと思う。子ども達に人気があるのは「おはスタ」なんかに出てくる怪人社員みたいなノリなのではないか? 声優アイドルならゾナーとかそっち系か。

 しかし、前川みくにとって安部菜々は「カフェの店員さん」のイメージしかなかった。

 そして何より前川みく自身が「猫キャラのアイドル」で売っていて、そこには安部菜々とウサミンにあるような人気ギャップがなかった。だから安部菜々とウサミンの間にある複雑怪奇な「キャラとアイドルと中の人」の距離感がわかってない。

 ここに前川みくと安部菜々の、下積み経験の差が生む切ないすれ違いがある。

 

3・崖っぷちの憧れ

 

 マッスルキャッスルでの共演。ここで前川みくの誤解は決定的になる。

 ウサミンコールで会場が一つになったと前川みくは言う。だが崖登りアイカツ中だった彼女は知らないのだ、あのコールがスタッフの仕込みだったのを!!

 堀裕子のサイキックに合わせてADが指示出してるだけなんだよ。そしてすかさず川島さんがアオリ入れているだけなんだよ。さっきTVでゲームの宣伝に付き合ってた川島さんだよ!!(そして満面の笑みでスルーするとときん)

 一応、この番組で安部菜々はお天気コーナーのアイカツ(後任は絶対、中野有香)もしているので観客ならばウサミンコールの知識はあるだろう。自発的にやってくれる人もいるはずだ。しかしあそこまで完璧に揃うのはスタッフの指示がなければ難しい。

 それについては本人も「皆さんが盛り上げてくれたから」と謙遜しているわけだが、前川みくはそのコールに応えた安部菜々のド根性とウサミンのキャラクター性にこそ惚れ込んでしまう。

 これ、初見時にはかなり急激な展開に思えて、1stから張っておくべきだった二人の関係を徐々に深める伏線がオミットされているのではないか? とちょっと疑ったのだが、改めて考えると二人を急接近させないとそもそも誤解が生じないので、これは仕方ない……というか、この16話の脚本は無理難題の数々をアクロバティックに乗り越えている部分が多過ぎるので、むしろ一話内でまとめていることを驚くべきか。

 

4・安部菜々とウサミンの弱み

 

 そしてやってきたイロモノ排除勧告。

 これに安部菜々は、内心不満を抱えながらも表向きは粛々と従う。

 この描写に年季入ったアベナナPは納得いかないかも知れない。安部菜々は周囲の圧力で自分の生き様を曲げるほど弱くはないと。

 だが、アニメのこの場面で重要なのは「安部菜々」と「ウサミン」の力関係なのだ。「ウサミン」はあくまで「安部菜々」が手塩にかけて育ててきた自分自身のキャライメージだったはずなのだが、今やすでに商業ベースに乗っているのである。346プロの完全バックアップを受けて売り出され、その力でCDも出せた、タイアップも取れた、もはや「ウサミン」は「安部菜々」のニックネームというより独立したキャラ商品に近い。

 事務所の商品に対して勝手はできない。

 永遠の十七歳としていい大人である安部菜々は、他のイロモノ少女達のようにただ自分のやりたいことだけ主張することはもうできない。

 母親からの電話で、やり直しの利かない場所まできていることは嫌でも思い知らされる。どんなに「ウサミン」が大事でも、無理にそれを取り戻そうとすればアイドル「安部菜々」が死ぬ。死ねば復活はない。正真正銘の崖っぷち。

 

5・前川みくの不安

 

 一方で前川みくも猫キャラしか生きる道のない自分に漠然とした不安を持っている。

 そこを李衣菜に指摘されて揺れ動くのだが、しかし大事なのは前川みくの不安と安部菜々の不安は種類が違うということ。

 いや、根本的には同じなのだろうが、レベル差があるというか不安が育って問題を起こしている段階が違う。

 前川みくの不安は、あくまでこれから先も自分を貫けるかどうかといった将来に向いた精神的なもので、いわば青春の悩みである。

 安部菜々の不安は実生活に直結する。自分を貫いた結果アイドル廃業して千葉で婚活するしかなくなるかも知れないのだ。深刻度が段違い過ぎる。

 しかし前川みくにとっては、安部菜々は十七歳のちょっと年上の先輩。

 自分と同じ道を、自分よりちょっぴり早く歩いている身近な目標。

 だから前川みくは、等身大の自分の言葉をそのまま安部菜々にぶつけてしまうのだ。

 キラッキラに輝いた十代のアイドルの言葉を……!!

 

6・そして安部菜々は死に、ウサミンは甦る

 

 ステージでは案の定、誰も「安部菜々」を見ない。

 ここで、TVにも出ているんだしウサミン目当てのファンもいるはずだから、誰も「安部菜々」に反応しないのはおかしい……などと言う人は人間をわかってない!!

 人間社会の、これでもかという残酷さをわかっていない!!

 あのな、ミッキーマウスと遊びたがっている子どもがな、中身のオッサンが歩いているのを見て反応すると思うのか?

 一発屋の芸人が地方公演で持ちネタ持ちキャラを封印して、普通にスーツにネクタイで漫才始めたら誰が歓声を上げてくれるというのか?

 結局、今の「安部菜々」は346プロが下駄を履かせてくれた「ウサミン」がなければ何もできない。魔法の解けた灰かぶり。

 ちなみに携帯ゲームのデータ配信イベントという設定は、子どもとソシャゲーマー=アイドルのことは知っていても別に熱心ではない客層ばかり大挙して集まる状況には合致していて、そこはよく考えられている。

 で、そんな冷えきったステージで前川みくは一人、叫び出すのだ。

 

ミミミン、ミミミン、ウーサミン!!

 

 つらい。

 いや嬉しいだろうし感動もするだろうし、心からありがたいだろう。

 けど、つらい。

 

ミミミン、ミミミン、ウーサミン!!

 

 「菜々ちゃんにとってウサミンってその程度のものなの」とかさぁ。小娘が何を生意気言ってくれてんだって話じゃないか、永遠の十七歳からしてみれば。

 お前が悩んでさっき好き放題に言ってくれたことなんてとっくに乗り越えてきてるに決まってる。何度も何度も、今の生意気な前川みくを安部菜々は乗り越えてきた。

 だが、だからこそきっとどうしようもなくわかってしまうのだ。

 

ミミミン、ミミミン、ウーサミン!!

 

 そのコールに込められた本当の意味。感情。前川みく本人ですら正確には自覚していないであろう不安の正体と、求めている偶像の姿と、未来に待つ過酷な運命の全て。

 前川みくでも「ウサミン」でもなく、「安部菜々」にだけはそれがわかるのだ!!

 

ミミミン、ミミミン、ウーサミン!!

 

 やめろ、やめるんだ!! その変身には意味がない!!

 たとえここで一時的に観客を湧かせたとしても生命が尽きてしまえば終わりだ!!

 たった一人の、自分を憧れだと言ってくれた無知な少女のワガママの為に、(ピー)年の苦労を無駄にする気か!?

 目の前のこいつには未来があるんだ。恵まれた環境、溢れる才能、若さ、ともに歩む仲間、こいつには全部ある。安部菜々にないものを前川みくは全部持っている。

 なのに、何で――

 何故、君は、誰が為に、

 

「メルヘンチェーンジッ!!」

 

 命を捨てて戦うのか……!!

 

7・孤独な魂に救済を

 

 えーっと、色々書きましたが究極的にはあの瞬間、安部菜々を「ウサミン」に変身させたものが何だったのかはわからない。

 直前までの感情の流れや情報を整理することはできるが、一番大事なものはわからない。

 そしてその「アイドルの本心なんて、わからない」というのはアイドルの、アイドルマスターの、シンデレラガールズの極めて本質的なテーマでもある。

 この16話において前川みくと安部菜々はずっとすれ違っているし、同じ問題を共有しているようで全然していない。しかしそれでも安部菜々は「ウサミン」を演じ切ることで前川みくを救い、前川みくは自分達の輪に「ウサミン」を迎え入れることで安部菜々を救う。

 孤独であることも残酷であることも一切否定せず、最後は優しさだけ残して幕を引く。

 そしてたぶん、次回からは「ウサミン」ではない素顔の安部菜々を少しずつ知らしめていくことになるのだろう。彼女のシンデレラストーリーは、ここから始まる。

 

 

 あ、それと美城常務が常にメルヘンチックな比喩を持ち出す問題や、常務の掲げるアーティスト路線と地下のイロモノ一門集結が完全に仮想ミリオンVSシンデレラ状態になりつつあるとか、16話は本当に情報過密にも程があるので他にも触れておきたことは多いのですが、キリがないので置いておきます。

 この記事も三宅麻理恵のコメントが出るまでの生命だと思うし。

 

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