へたブロ~下手の考え休むに似たるのはてブロ~

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シムーン #26(終)

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Simoun CDドラマ「嗚呼、麗しの派遣OL なぜなんだシムーン株式会社」
シムーン 異薔薇戦争 封印のリ・マージョン(初回限定版)
訳わかんないけど意味になど価値はないので
美しければそれでいい!!
・・・一回観ただけではどうもすっきりせず、
もう一度観ても細かいことはやはりわからない。
だが、それでもかつて少女だった者達の独白に、
懐かしい音楽と思い出の場所、永遠の少女二人のダンス、
そして過ぎ去った青春の印が映し出されるラストシーンに、
切なさと美しさを感じて胸が熱くなった。
みんな、大人になった。
モリナスはワポーリフの子を宿し、ワウフの運送屋で働く日々。
パライエッタは孤児院を開き、ロードレアモンは
マミーナを想いながら政治の仕事に勤しんでいる様子。
カイムとアルティは実家で仲良く暮らし、
ユンは泉で祈りを捧げ続ける。
過去に飛んだリモネは、病を押して立ち上がったドミヌーラとともに
再び空を駆けることを決意する。
そして男になったフロエは、またも始まる戦争に向かう
ヴューラと別れの言葉を交わす。
フロエが男になったのは、フロエが一番、
少女から大人への変化を象徴出来る存在だったからなんだなぁ・・・。
アーエル達の旅立ちの日と、後日談が前後する構成で、
それがややこしさに更なる拍車をかけていたが、
フロエに代表されるみんなの変化を見せるには適した形だった。
結局、アーエルとネヴィリルはどこへ行ったのか、
シムーンとは何だったのか、翠玉のリ・マージョンによって
世界はどう変わったのか、詳しいことはわからない。
ラストダンスのシーンで、二人は現在に戻ってきたようにも見えるし、
ボロボロだったカーテンが元に戻ることから、
あれはあくまで思い出なのだとも解釈出来る。
リモネが見たように、二人はあらゆる時空を飛び交い
永遠で在り続けているのかも知れない。
しかし、わからないものはわからないし、それでいいのだろう。
人は、アーエルやネヴィリルにはなれず、
それを想いながら子供から大人に変わっていくしかないのだから。
SFテーマや戦争テーマを、ある程度放棄する形で、
少女(少年も含まれる)期の終わりの物語として
美しく完結させたのは、多少惜しくはあるが正しい判断だったと思う。


当初は、複雑回帰な設定で視聴者を振り回す百合アニメ、
という認識でしかなかったものが、
回を重ねるごとにハードな戦争描写あり、
鋭く抉るような心理描写あり、
ドロドログチャグチャな人間関係あり、
壮大なSF設定あり・・・といった、
とても百合などという穏当な言葉で済まされる作品では
なくなっていく様子がとても面白かった。
観続けるほどにハマる、入り口は狭いが中身が深い作品だったという印象。
最終的には百合よりBLっぽくなっちゃったのも凄い。
たぶん、作品を進めていくうちにスタッフが
「かつて少女だった大人の男」という設定はオイシイと
気付いちゃったんだろうなー。
何だあの最後のアヌビドゥフとグラギエフの怪し過ぎる格好は!?
メガネとジャケットって、一体二人で何の仕事してんだよっ!?
大量のキャラを魅力的に回して話を深めていく手法は、
西村純二監督作品の集大成ともいえるものだったし、
その美しくも可憐なキャラとビジュアル、
そして過剰なまでのエロスを感じさせる作画からは、
キャラデザ&総作監である西田亜沙子の魅力が遺憾なく発揮されていた。
スタッフもキャストも、本当に上手くこの世界に馴染んでいたなー。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。