劇場版BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ

劇場版BLEACH第三弾。
一護とルキアに関する記憶が消され護廷十三隊と一護が
再び激突するという原作初期を彷彿とさせる展開のなかで
改めて一護とルキアの関係を見つめ直していくという内容。
今までの劇場版と同様にドラマパートは比較的低温で進行し
バトルパートは派手派手に盛り上げるというバランスになっているが、
今回はドラマの方もちゃんと一護が中心になってるおかげで見応えがある。
「仲間」だの「恩人」だの「絆」だの表現は色々あるものの、
一護がルキアを無二の存在として追いかけ呼び続ける展開は
いつになくストレートに二人の関係に踏み込んでいて良かった。
しかし現状の二人の関係性でやれる極限のところまでやっているので、
逆説的に二人の関係が恋愛にまでは発展しようがないという
一種の限界を露呈させるような効果も出てしまっているのが興味深い。
ただまあ、発展しないだけで二人の関係に絞っているのは確かなので、
その煽りを食って最後まで自力でルキアのことを思い出せないままで
済まされてしまう恋次の扱いがなかなかヒドいことになってたなー。
もうすっかり蛇尾丸で一護を運ぶ人でしかない・・・！！
ちなみにこの映画で蛇尾丸が男声で喋っているのを観ていないと
斬魄刀異聞編での蛇尾丸女体化にインパクトがないんだな。
ルキアと事件の元凶たる謎の姉弟の物語については、
何か姉役の平野綾のウザ健気な存在感と弟役の神谷浩史の
一言フォロー演技力に全て委ねているようでわりと綱渡りな印象受けたけど、
設定に穴が多いのを声優が埋め合わせる形は出来ていたかな。
あと、今回のコンと浦原の使い方は原作でもまだ出していない
ジョーカーを切ってきたような感じで少し驚かされた。
コンはともかく浦原参戦は原作者了承済とはいえ良くやったものだ。
アクション作画は妙に濃い絵柄の一護VS恋次、
巨大触手モンスター相手の夜一と川上とも子な砕蜂の百合描写、
一護VSダーク化ルキアのロングショットでの細かい殺陣など、
硬軟織り交ぜた内容で作画演出の幅の広さが感じられた。
しかし何だかんだで一番面白かったのはCM開けに毎回TV版の
宣伝をさせられていた一護が後半ネタ切れしてきて
ついに早口言葉始めたりするネタだったよーな・・・。