マインド・ゲーム

湯浅政明の初監督作品にして出世作にして狂気の怪作。
わりと原作に忠実ではあるらしいのだが表現と展開のことごとくが
ぶっ飛びまくっていて本気でドラッグムービーと化している。
特に中盤、クジラに呑まれてからの展開は停滞する長い時間の合間に
真面目だった姉が胸と股間に長い風船付けて暴れまくりながら
ボディアートに精を出すといった狂ったネタが連続して襲いかかってきて、
観ていて脳を半覚醒状態でこねくり回されるような異様な感覚に見舞われる・・・！！
全編に渡って、実写を交えたりしながらも作画はハイクオリティで
独特のデザインと相俟って素晴らしい完成度ではあるのだが、
だからといってそれを楽しんでいるだけでは済まない。
アニメというものに秘められた本質的な暴力性を見せつけられるなぁ・・・。
それでいてストーリーがおざなりなのかというとそうでもなく、
相当に構成が込み入っていて初見では理解が及ばないくらい深さもある。
時間も空間もマインドのままに揺れ動くような世界のなかで、
過去の歴史とそれに連なる血縁の繋がりが消えないことに何の意味があるのか。
むしろテーマを明確に読み取るようなことをしてはいけないんだろうけど、
それにしても良くこの密度で二時間の劇場映画なんて作ったものだ。
今田耕司をはじめとした吉本芸人の演技もハマっていて面白かった。
こういうところでも今田耕司の器用さは際立つんだな・・・。