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魔法少女まどか☆マギカ #10・11・12(終)

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諸事情により放送を延期していた残り三話を一挙放送。期せずしてシャフトアニメ三連続に。
しかし10話から最終回までは実際に一続きの物語という印象が強い為、こうして連続放送になったのは不幸中の幸いだったのかも知れない。
ほむらの過去と覚悟、世界と呪いの無限連鎖の真実が明かされた第10話を受けて、第11話でまどかは自分自身の決断を下す。
母親との最後の会話はあまりにも痛々しく、まどかが主人公として能動的に動く事実上のクライマックスと言っていいシーンにも関わらずひたすら不安感と理不尽さが募っていくのが凄かった。
確かに全てを知ったうえでの自分自身の判断かも知れない、一人の人間としての責任ある行動かも知れない、他にどうしようもないのかも知れない、それにしてもこれを尊く気高い行動だとは思いたくない・・・。
魔法少女ものに限らず、親の説得振り切って最後の戦いに向かうシーンなんて過去にいくらでも観てきたはずなのに、それでもそう感じさせられてしまうのは今までに積み重ねられてきたこの決断の意味の重さゆえだなぁ。
ちなみにここで避難所の描写があって地上波放送では若干シーンがカットされていた模様。ああ、このシンクロもまた重い・・・。
そして最終回。魔法少女となったまどかは魔女化のシステムそのものを宇宙規模で改変し、人ならざる高次元の概念となって永遠に少女達を「見守る」存在となる。
イデオンであり、エヴァであり、またセーラームーンでもありプリキュアでもある。無茶苦茶なスケールに突き抜けてしまった感じもあるのだが、やってること自体は極めて王道。
ただ最後まで魔法少女達に人間としての幸福を与えなかった徹底ぶりは異端ではある。
魔女化システムは消えても魔法少女が戦い続け、結局は消えてしまうという「人間としての悲劇」はまったく手付かずで継続するって冷徹な世界観はエグいな。そしてエグいが誠実だ。
まどかが守った希望、奇跡の可能性なんてものは更なる絶望でしかないのかも知れないし、遍在する神の如きものを信じたからといって人が救われるなんてこともない。
それでも救われているものがあるとしたら、それはほむらの心だけであって、要するにほむらの納得の為だけに宇宙の改変やら何やら他の全てはあったようでもあるなぁ。
そして、心は救われたかも知れないが別にそれ以外はまったく報われてない・・・。
あのCパートのラストシーン、戦い続けたほむらがいずれはまどか時空で他の魔法少女達に迎えられることを示してもいるんだろうけど、それ以上にあれは「女神の声」だけを支えに戦い続ける修羅の孤独だ・・・。
オトナアニメのインタビューで虚淵玄が「ボトムズ」について熱く語っていたのに激しく納得してしまう漢女(オトコ)の美学炸裂なラストでひたすら美しくはあるが、ただ本音を言えば美しく苛烈なラストも良いけど、くだらなくてもほのぼのとした日常に帰るラストも観てみたかったな・・・。
ともかく全体的には、新房昭之虚淵玄による「魔法少女もの」という整理されているようで実はまだ混沌としているジャンルの総決算という意味合いとともに、純粋に物語としての力強さで引き込んでいく骨太な作品だったと思う。
変な言葉になるが、個人的にはこの作品で久々に味わうことの出来た「本気で殺しにきてる感」が実に刺激的で面白かった。
ただしそういったものは普通に作品に込めたのではアニメに限らずどんな創作物も破綻する。「本気で殺しにきてる感」は若さと不可分だが、それを万人に受け入れられる形に収めるには老練な技術が要る。
恐らく、新房昭之虚淵玄はこの作品においては器を作る方であって、この作品を真に熱狂へと導いた中身はもっと若いスタッフの仕事に依るのではないかと。
ぶっちゃけ筆者も放送中は虚淵脚本・シャフト演出という便利な言葉に頼ってしまって個々のスタッフの仕事を判別してなかったのであんまり詳しいこと書けないのだが、少なくとも劇団イヌカレーをはじめとした「画」を作っていたスタッフの仕事は毎回光っていた。
新房昭之を頂点にしてその下に副監督やSDを置き育てるシャフトシステムも、更に下が育ってきている段階に入っているのか・・・。
あと「魔法少女もの」の再解釈については、魔法少女のはずが最終的にはロボットアニメや仮面ライダーの領域に突入していたことに一つの必然が見えた。
すなわち、魔法少女も巨大ロボットも変身ヒーローも、日本的な命題を語るうえでは同じものだということだ!!
・・・で、それが具体的に何なのかについては・・・次を待たねばならないな。
いや逃げているのではなく、この作品は魔法少女の総括なんかではなく実は発端でしかなかったことが最終回で明白になったと思うんだよね。
魔法少女なるジャンル、そこに代入されるロボットアニメや変身ヒーローの系譜・・・これは新たなジャンルの萌芽なのかも知れない。
今でこそ「魔法少女もの」の最先端とされるこの作品も、いずれ別の何かの始祖として語られる日もくるのだろうか・・・。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。