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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV放送版&ブルーレイ版

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金曜ロードショーで放送されたTV版を観たあと、随分前に中古で買ってはみたものの観る気力が湧かず放置していたブルーレイ版を視聴。
で、単純にTV版でカットされている部分をブルーレイでカバーすれば良いかなぁ程度に考えていたのだが・・・非常に困った。
TV放送版とブルーレイ版で自分の感想がまったく違う!!
単純に言うと・・・TV版=つまんなかった。ブルーレイ版=面白かった。
そもそも新劇場版自体、旧TV版や旧劇場版と比較してあれこれ語る宿命を背負った作品なのに、更にTV放送版とブルーレイ版で全然見え方が違うってそんなの感想書くうえで収拾つくわけねーよ!!
ただでさえ、エヴァを語ろうとすると未だに切羽詰まるのに・・・!!
しかしこのTV放送版とブルーレイ版で何でこんなに感覚が違うのかを考えることによって、自分がエヴァの何を観ていたのかが明確になった気もする。
ええと、要するに自分にとってのエヴァというのはどこまでいってもひたすらに、碇シンジの話なんだとわかった。
TV放送版で一番引っかかったのはシンジの話になっていないように感じたこと。
群像劇的な構成でしかもテンポが早い為、シンジが他のキャラの視点を通じての客観でしか描かれていないように見えた。アスカから見たシンジ、ミサトから見たシンジ、ゲンドウから見たシンジ、マリから見たシンジ、そして最後にレイから見たシンジが男へと成長を遂げ全てを「上」から見下ろしていたカヲルがシンジを連れにやってくる。全てシンジを写し鏡のように使っていて実はシンジ自身を描いていない。そんな印象だった。
で、これはブルーレイ版ですぐに疑問が解けた。TV放送版だと加持さんとシンジのシーンがほぼ全面カットされていて、これがシンジ自身の心理の流れを寸断していたんだと。
確かに話の大筋を壊さずにカットするなら加持さんとのシーンをまとめて削るしかないんだけど、それだけのことで、シンジの物語は根本から崩れてしまう。シーンの繋がりも話の流れも理解出来るようになっているのに手触りがまるで違う。
駄目なんだよ、シンジが何気なく誰かと会話している、一人でウォークマン聞いている、トウジ達と一緒に下校している、そんな何気ないシンジの生活の僅かでも削ってしまったら、エヴァエヴァにならない。
そういうもんなんだ・・・と、個人的に勝手に納得して、若干満たされた。以上、終わり。


・・・というだけなのもアレなんで、語り尽くされてはいるだろうけど一応他の要素にも触れておく。
全体構造:ロボットアニメというよりも怪獣映画。「もぐもぐ、ぺっ」など使徒が生物的なチャーミングさを増しているのは怪獣映画はシリーズ重ねると怪獣が脅威からアイドルに変わってしまう現象そのもののようで興味深かった。
脚本:再構成と新規要素のバランス取りは決して上手くいってないんだけど、食事というキー要素を軸にして辣腕でまとめているのが凄い。マリはゼロ年代的とか鶴巻キャラっぽいとか色々言われるが、あれは一周回って帰ってきた主人公キャラって感じもする。
作画:良くも悪くもエヴァが軽い。これはCGも含めてはっきりゼロ年代ロボットアニメの影響があるように思う。ただ、意図した以上に現在最高のアニメーター集めるとこうなっちゃうのは当然か。シン化初号機はスパロボで後半火力不足にならないようにという配慮もあるんじゃないかと勘繰ったり。
音響:BGMに頼り過ぎかなぁ。もっと無音や環境音を活かした旧TV版チックなシーンも欲しかったけどそこは劇場観賞前提の作りだろうから詳しくはわからない。歌謡曲演出は反則だけど上手い。上手いけど反則。しかし公開後二年間のトレンド見ると先取りしてるよなぁ。
世界観:近未来だったはずの第三新東京市がすっかり近過去のノスタルジックな空間になっていることに驚く。このノスタルジーは全体を貫いていて明るく前向きと言われる雰囲気を下支えしている。ノスタルジーもまた、以後トレンド化したし・・・。
Qへの展望:旧版の呪縛は打ち破ったように見えるが、まだ油断は禁物。何よりシンジの物語の落としどころがわからない。シンジにとっての「幸せ」って何だ? 納得のいく終わりよりも、激論を呼ぶ新しい提示が見たい。
筆者はQを観に行くのか?:今度こそ・・・劇場まで辿り着ける自分でありたい。