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劇場版るろうに剣心 維新志士への鎮魂歌

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るろうに剣心、劇場版。今までは唯一の劇場版だったが最近第一弾になった模様。
監督&キャラデザ&総作監を辻初樹が一人で行なっていることもあって、原作とも古橋一浩監督のTV&OVA版とも少し異なる雰囲気。
・・・というか、そもそもキツいスケジュールのなか一人で色々やるのが無理あったようで作画に関しては劇場版とは思えない低調ぶり。
これでも作監や原画のメンバー見るに必死に頑張ったんだとは思うのだが、正直パッと見だけで金返せと言われるレベルだ・・・。
実際公開直後もOVA版によってアニメ版るろ剣全体が再評価された時期にも、この劇場版だけは華麗にスルーされ続けていたからなぁ。
しかし実際観てみると、個人的には意外と面白かった。特に脚本が良い。
維新志士によるテロ活動を極めて真面目に、かつちょっと全共闘っぽく描いていて他にはない切り口の物語になっている。
井上和彦演じる元維新志士の演説シーンがまさに青年活動家って感じだったなー。
それと幕末の闘争についても、互いに覚悟のうえでやってたんだから恨みっこなしだという価値観が出てきていて、これも原作や古橋版にはない視点が興味深かった。
原作も古橋版も人斬りの罪について現代的な道徳観を意図的に持ち込んでるんだけど、そこを外して死して爽やかな雰囲気を出しているのは上手かった。
勿論そうすると「るろ剣」ではなくなってしまうんだけど、それでもこっちの感覚の方が幕末維新に懸けた青春ストーリーとしては腑に落ちる。
辻初樹の個性なのか脚本担当の大橋志吉の考えなのかはわからないが、こういう「るろ剣」もあり得たのかなと時代の可能性を見せられた気もしたな。
ただ締めがバタバタしていたのと、バトル要素が取って付けた感じになっていたのが非常に惜しい。
何というか、身の丈に合わない志を抱いて散っていく「維新志士への鎮魂歌」がそのまま当て嵌まる作品だったという印象。