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【アクエリオン考】アポロが犬だったなんて信じられない!!という偽りの神話について

 

アクエリオンロゴス Vol.1 [Blu-ray]

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アクエリオンEVOL 禁断合体 Blu-ray BOX

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 デレマス考のような文章ばかりだと疲れて更新が滞るので、ちょっと思いつきだけで適当に更新してみます。

 

 アクエリオンシリーズ最新作「アクエリオンロゴス」がBS11でも放送されました。初回は前作「アクエリオンEVOL」の後日談にして初代「創聖のアクエリオン」とのコラボ特別編「創勢のアクエリオンEVOL」との豪華二本立て。

 で、ここで初代アクエリオンが「犬型」に変形するというギミックが初登場。

 これは「EVOL」において実は初代主人公アポロの前世が犬だったと明かされ、多くのファンが「前作の物語を台無しにされた!!」と怒りや戸惑いの声を上げたことをアクエリオン風にネタにしたものです。誰が何と言おうとアポロは犬!!

 

 しかし、筆者はずーっと疑問に思っていることがある。

 

 

そもそも一期最終回でアポロの前世は犬でしたと判明したはずではなかったか?

 

 少なくとも筆者自身はずっと「アポロは犬」と認識していたし、そのつもりで「EVOL」に触れていたのでその話が改めて出てきた時、何を今更と思った。

 今回、過去の感想を漁ってみたところ、「EVOL」23話で筆者はこう書いている。

hetablo.hatenablog.com

 シュレード最期の旋律と、神話の真実。
第一期ラストのおさらいって感じだったが、アポロの前世が犬だとかアポロニアスの魂はアクエリオンに宿っているといった話って第一期最終回でちゃんと明らかになってたよね?
トーマもその辺は納得して最終回で味方してくれたように思っていたのだが、騙されたと怒ってミカゲになったというのが良くわからない。
アマタとカグラの前世がアポロで、ミコノがシルヴィアというのもそのまんま過ぎて驚きも何もないんだけど、あくまで第一期知らない人向けの説明だったってことなんだろうか?(後略)

 

 実際には、一期を知っている人達がキレてた。

 何よりスタッフの側もここでアポロが犬でしたと明かすことで、驚きを与えられると考えていたらしいんですね。つまり一期で全てバラしたつもりではなかった。

 

 じゃあ何で自分はそんな「勘違い」(実際には正しかったので、早合点というか早理解というか……)をしていたのか、というのが問題なのだが、一期の放送は2005年4月~9月とちょうど十年前のことでさすがに記憶が曖昧。

 

 だが、はてなダイアリーの全データをインポートしたこのブログは、十年前の感想が普通に出てくるのだ!!

hetablo.hatenablog.com

 人と天使が合体し、今再び神話は巡る。
まさかここまで美しい最終回になるとは思わなかった。
多少積め込み過ぎではあるが、一万二千年という
途方もない時間を超えた恋という、
この作品のメインの部分は見事に描かれていた。
アポロ達がいなくなってしまったラストシーンは、
寂しくはあるが不思議と哀しくは感じなかった。
また、一万二千年後に必ず再会出来ると
思わせてくれるだけの物語がちゃんとあったんだなー。(後略)

 

 ……誰だこんなポエミーなだけで中身のない最終回感想書いた奴は!?

 役に立たないなこいつ、犬のこと書けよ犬のこと!!

 だが、よく読み返すと真のヒントは一話前にあった。

hetablo.hatenablog.com

不幸への愛でグレン覚醒、けど爆死。
司令の正体がかつてのアクエリオン操者だったことが判明。
シリウスとシルヴィアは二人でセリアンの魂を
分けていたことが判明。
「太陽の羽」とはアクエリオンのことだったことが判明。
じゃあアポロって結局何? というところで最終回へ。(後略)

 

 これだ、これ!!

 「じゃあアポロって結局何?」。この問題意識。

 ここで自分は「司令(不動GENのこと)の正体がアクエリオン操者」と書いていて、「EVOL」で判明する「不動GEN=アポロニアス」という認識こそ持っておらず、太陽の羽(正しくは太陽の翼)のこともこの時点では少し誤解している。

 だが、「アポロ=アポロニアス、ではなかった」という衝撃の事実がここで判明したのだという興奮を強烈に覚えている。

 そしてこの物語が、

 

「ずっとアポロ=アポロニアスという前提で進んできたものをラス前にひっくり返し、最終回で意外な真実が明かされる」

 

 ものになるはずだと期待している。

 だから、最終回に意味ありげに出てきた犬を、

 

アポロだ!! 実はこいつがアポロでしたって仕掛けだったんだ!! なるほど!!

 

 と、速攻で解釈してそれを疑うことをしなかった。

 ただその仕掛けはラス前の段階で心の準備をしていないと気づかない程度のものだったので、多くの人は取りこぼしていたのだろう。

 

 自分にとって「創聖のアクエリオン」は人魚姫や鶴の恩返し、あるいは「ごんぎつね」の擬人化版みたいな、ただの獣が主人を想うあまりに一万二千年の時を超え、姿さえ変えてやってきたという、時間も性差も種族の壁をも超える愛のアニマル神話として記憶されていたのだ。

 

 とはいえ……それがあの当時、特殊な解釈だったというのもやはり疑問が残る。

 あの時点で「アポロは犬」、「アクエリオンは犬がお姫様に恋をして転生した話」と考えていた人は、多数派ではなかったにしろ皆無ではなかったはず。

 では何故、「EVOL」までの七年ほどの間にその解釈が消え失せてしまったのか。

 これは完全に感覚任せの話なのだが、恐らく「アクエリオン」というコンテンツがTVアニメよりも、その後のパチンコやそのCM効果によって大きく波及した影響で、原典よりもイメージが先行してしまったのではないか?

 

 一万年と二千年前から愛してる~♪

 

 あの歌詞のイメージが鮮烈に男女のロマンティックな恋の神話物語としてのアクエリオンを捏造して、それがいつの間にやら原典に触れていたはずのファンにまで侵食していたのではないか?

 それともう一つ大きいのが、「スーパーロボット大戦Z」シリーズへの参戦。

 「スパロボZ」では主に原作再現シナリオが展開されたが、ここで犬は出てこない(出てこなかったはず)。アポロはあくまで、アポロニアスの転生かも知れないしそうではないかも知れない謎の存在のままで済まされる。

 更に続編「第二次スパロボZ破界篇・再世篇」では原作シナリオ消化後の参戦であり、そこでアポロは幾度も覚醒状態になりいかにもアポロニアスっぽい偉そうなことを言う。

 

 筆者はこのシナリオ展開を見るたびに、「犬のくせに何言ってんだこいつ?」と実は思っていたのだが、多くのプレイヤーにとってはアポロニアスっぽいアポロこそが本物のアポロであり、「EVOL」で実は犬でしたと言われてショックだったのはその影響も強かったはずだ。

 ちなみに「第三次スパロボZ天獄篇」で「創勢」と同じく「EVOL」との共演が実現したので、犬の件も何かしらツッコまれているはずだがPS3もVitaもない筆者はまだ未プレイ……。

 

 ともかく、結局長々書いてしまったが要するに、

 

 十年も続くコンテンツだと色々ある。

 

 ってことですね。

 人は流れる、忘れる、歴史は容易に揺れ動く。

 「ロゴス」は第一話の時点だと旧二作との関連性はほとんど感じられないが、新しい歴史がどんな神話を紡ぎ出すのかには注目したい。