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【デレマス2nd速報感想】アイドルマスターシンデレラガールズ第19話、猫とロックと男と女

 

 

 ロックと思えばそれがロック!!

 

 「いつかオレはビッグなロックスターになるから」が口癖な、実際はギターもろくに弾けないダメ男。そんな男とひょんなことから同棲生活を始めてしまった努力家の女。二人はケンカを繰り返しながらも最近はとても上手くいっていた。女の夢に対してダメ男も協力的になり、二人の生活は順調に進んでいくかと思われた。

 だが、突然の大家による横暴。部屋を追い出され二人の生活は困窮する。そんな時、ダメ男の前に颯爽と現れた新たな女!! その女はダメ男の理想をそのまま形にしたかのような完璧さで、しかもダメ男に何故か優しい。

 案の定、あっさり浮気に走るダメ男!! それでも信じて待つ女!!

 しかし新たな女にも、哀しい過去の傷が見え隠れする!!

 一体この三角関係、どうなってしまうんだ――!?

 

 という、アイドルマスターシンデレラガールズ第19話でした。

 アイドル。マスター。シンデレラ。ガールズ。第19話でした。

 

 

 ……いやー、真面目に徹頭徹尾「そういう話」でしかない、というのが凄え。ロックというより明らかにド演歌もしくはフォークソングの世界だが、しかしそんな話を堂々とアイマスとしてやり切ってしまうこと自体が超ロック。

 多田李衣菜と木村夏樹、「だりなつ」の関係性にこういう男女の機微に似た「読み」を持ち込むこと自体はそう珍しい発想でもないと思うのですが、それを成立させる為に、「だりなつ」を絶妙な距離感を保った関係へと持っていく為に、前川みくが正妻としてあらかじめ準備されていたのだというのが凄え。

 アニメオリジナルユニットのなかでも最大の「どこから出てきたんだその発想?」案件だったアスタリスクが、実は「だりなつ」に秘められた背徳的な熱情を際立たせる為だったというのは、前回のCIと凸レーションが実は「あんきら」の切実さの為にこそ存在していた……という構図とまったく同じで、改めて1stシーズンから通してのキャラ配置の計算高さに震える思いがする。

 

 しかし今回の感想、その辺りの細かいことを解説する必要がありません。

 何故かというと、

 

今回、ゲーム内の「NO MAKE」「マジックアワー」で本編のほぼ完璧なフォローが公式に行われているから。

 

 元々「NO MAKE」の方は本編で描き切れなかったエピソードを補完する役割をずっと果たしていたのですが、今回は「マジックアワー」でも木村夏樹が本編に隠されていたメインテーマについて直球で答えている。

 それが何なのかについては、聞けばわかる!! ああそうか、木村夏樹にとっての多田李衣菜とはそれほどの……と、聞いてない人はすぐにアプリ落とすなりモバゲーに登録するなりしてゲーム始めて、通常お仕事ポチポチしてファン100人稼いでエピソード解放しましょう。(ただしガチャは回すな、悪魔の罠だ)

 で、これで話は終わってしまうんですが、それだけでは何なので、あと19話は絵コンテ・演出・作監:赤井俊文による細部にまで気合いと愛情が漲った極めて情報量に富んだ内容になっているので、思い付いたところだけ拾っていこうかと思います。

 

・常務の目の付けどころがロックだぜ!!

 

 アバンで木村夏樹のデータを見る前に、十時愛梨と誰かが写ってるんですが……これ櫻井桃華でいいのかな? 一瞬、遊佐こずえか若作りしたクラリスさんかと思った。

 しかしすでに「とときら学園」にいる二人をわざわざ今チェックするとは、番組見て「ヤバい、意外と面白い。できたら引き抜けないかな」とでも考えていたのだろうか? さすがに自分で自分の路線を曲げることになるので声はかけていないと思いますが。

 木村夏樹を中心としたアイドルバンド結成のアイディアも、それだけなら素晴らしい。何故かというと、後述しますが木村夏樹は「ソロ活動よりも本当はバンドがやりたい」という想いをずっと燻らせているからで、だから今回の常務案はとても魅力的だった。常務が余計なことさえしなければ……。

 オーディションに自ら立ち会っているのも興味深い行動。結果的に部屋を横取りする形になってしまったものの、自分の路線に反抗した城ヶ崎美嘉にも丁寧に対応している点には注目したい。

 ただ……もしかしたら常務、美嘉の写真に対しては「私の路線を受け入れたうえで個性を出すなんてさすがカリスマ!!」くらい呑気に考えている可能性もある。

 今回、常務について一つはっきりしたことがあって、

 

常務は社員には厳しいがアイドルに対してはむしろ過保護

 

 なんじゃないかと。

 考えてみれば楓さんの時も、常務は良かれと思って「こんなみすぼらしい舞台、お姫様になった君には似合わない」と本気で言っていたのであり、だから断られた理由が「なぜだ?(素)」とまったく理解できていなかった。

 バラエティ路線廃止も「アイドルは物語性を持ち美城ブランドに合致したお姫様であるべき」というアイドル幻想をこじらせた結果なのであって、そのせいでバラエティをやりたい子が傷付くところまではそもそも想像が及んでないフシがある。

 今回の件も、相手はロックでメタルな連中なんだから自然に任せればいいのに(そして目の前で無茶苦茶いい感じに盛り上がっていたのに)、わざわざ余計な気を回して、過干渉して、嫌がられて逃げられる。

 つまり何が問題なのかといえば、常務は「アイドル」を「人間」として見る目が育っていない。「アイドル」を見る目は確かで、だから凛奈緒加蓮の可能性に一瞬で気付くことができるわけだが、その才能はあくまで生身の少女に宿っているのだという認識がない。

 以前「常務は1stのPを反復する存在なのではないか」という予想を立てたけど、1stのPはアイドルが「生身の少女」であることを極度に恐れて干渉を避けていたので、常務はその逆、鏡合わせの反転ってことなんじゃないかなぁと。

 そしてもう少し踏み込めば、「偶像であり商品であるアイドル」と「生身の女の子」を良好な関係で繋ぐのに必要なものが「笑顔」であって、アイドルの笑顔こそがファンの笑顔を引き出し世界を変えていくのだというのがPの理想でありアイマスの理念。だからこそ……卯月爆弾は何もかもを根底から破壊しかねないのだ!!

 

・唐突な+ウサミンがミミミンミミミン、ローックミン!!

 

 何でEDにウサミンが出てきたのかは「NO MAKE」参照。

 ですが、それだけでなく16話と19話はアスタリスク先輩回としてセットの話になっていて、安部菜々と木村夏樹もまたセットになっている。

 前川みくに憧れの眼差しを向けられ、その理想の姿を守ろうとする安部菜々。

 多田李衣菜に憧れの眼差しを向けられ、その理想の姿を守ろうとする木村夏樹。

 最後のライブが「決別と新生のステージ」であることもよく似ている。

 そう、木村夏樹もまたあの時の安部菜々と同じように何かを吹っ切っているわけですが、それが何なのかは……「マジアワ」参照。

 

 まあ、はっきり言ってしまえば本当の「にわかロック」は誰なのかって話で、そこには理想のロックアイドルとは程遠い木村夏樹の真実がある。

 ステージで昔の仲間との思い出を語るシーン、木村夏樹は18歳で多田李衣菜とは一つしか違わないはずなのに圧倒的な人生経験を感じる。ゲームでも最近、18歳なのに昔はバイクで全国放浪していたなどと言い出すし、もしかしてウサミンと同種のごまかしがあるんじゃないかと若干疑ったりもするが、まあそれはそれとして。

 重要なのは、昔は仲間がいた。今はいない。それが何故なのか?

 

木村夏樹は本当に「解散」してるんだよね。すでに一度。

 

 そして木村夏樹だけが、超大手346プロでロックアイドルを名乗りながらソロで活動を続けている。それらの事実からは容易に様々なドラマが想像されるけど、その詳しい事情が語られることはない。多田李衣菜が知ることもない。前川みくが安部菜々の苦難の歴史を知る必要がないように。

 ただ、「だりー」のなかにうっかり垣間見てしまった懐かしい幻影、それに引き摺られ甘えてしまったせいで二人を迷わせ傷付けたことのケジメとして、木村夏樹は自らの古傷を露わにして歌う。自分を慰める為でも過去を追い払う為でもなく、今を生きる二人を祝福する為の歌を。ロックンロールとはそういうものさ!!

 

 なので、あの場で「だりなつ」が解散したなどと思うのは大誤解だし、まして解散したのにすぐにCPに合流するのかよと突っ込むのもおかしい。むしろあのステージで「解散」したから、ようやく新しく「結成」できるようになった。

 とはいえ、あの僅か数分に凝縮された意味を初見で読み取れと言われても不可能なので、スタッフもそれがわかっていて今回は「NO MAKE」と「マジアワ」をフル活用してフォロー入れておいたんでしょうかね。

 

・トワイライトって何かロックだよね!!

 

 19話で個人的に一番嬉しかったのは「木村夏樹のバイクに乗って黄昏時の海を訪れる多田李衣菜」という、アニメで「だりなつ」回があるならそういうのやって欲しいなーと思っていたシーンそのものズバリが出てきたこと。

 赤城みりあの胸で泣く城ヶ崎美嘉もそうだったけど、このアニメのスタッフはファンの脳内を覗く能力でも持ってるんじゃないかとたまに感じる……!!

 しかし、だからこそ「TwilightSky」が歌われなかったのが勿体なさ過ぎる!!

 シチュエーション的には絶対、トワスカ歌うアイディアはあったはずなんですよね。というか、それ以外に海までいく理由がない。多田李衣菜といえばトワイライト、というのも肝心の歌がなければアニメ視聴者には伝わらないわけだし。

 ただ尺の都合で削ったというよりは、他のソロ曲とのバランスも考慮されたのかなという気はする。ソロ曲が出たという話は14話で伏線張っていながら、その後に流れたのはアレンジBGM版の「S(mile)ING!」くらいなので。

 ソロ曲の扱いは未だに謎めいた要素の一つで、ここまできたら最後にまとめて出すつもりなのか、それとも使わずに通すのかわからない。少なくとも「S(mile)ING!」は上記のアレンジBGMの存在や「Shine!!」との関係で何か仕掛けてきそうなんだけど……。

 

・説得シーンに消火器なんてロックだにゃー!!

 

 多田李衣菜が前川みくの説得を開始した瞬間、背後に隠されていた「消火器」の文字が出てくる背景演出は、7話でPが本田未央を説得する際に「禁煙・消火器・火の用心」の三連背景コンボが決まっていたことの反復なんですが、これは果たして監督主導による「韻を踏む」演出と単純に言っていいのだろうかという疑問がある。

 これは8話で蘭子回を担当した(前回18話も担当)岡本学のコンテ回からも感じたことなんですが、作品内での一貫した演出というよりは赤井俊文が「監督コンテ回のオマージュ・パロディ」をやっているようにも見える。

 もちろん、絵コンテや背景演出は高雄監督本人が入念にチェックしているはずなので監督が「韻を踏む」反復演出をコントロールしているのは間違いないとは思うのですが、それにしても特に2ndになってから「部屋の照明を智絵里かな子が自分で先に消している」とか監督の演出技法を積極的に真似しながらもメタ的に消化するような要素が増えていて、何というか各スタッフが高雄カラーに順応して、かつ一部ではそれを超えようとしてきているのを感じる。TVアニメ特有の進化の過程か。

 

・と、ここまで書いて

 

 あ、これ結局今回も終わんないや、と気が付いたので一旦ここまで。

 あととりあえずグラブルの新コラボ、ちらっと触ってみたんですが……ぴにゃこら太って一体何なんだよーっ!?