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【日々適当】週刊少年サンデー新編集長の宣言に対して特に言うことがない話

 

 

 先週発売された「アイドルマスターミリオンライブ!」のゲッサンコミック版、第二巻も恐ろしくよくできていて改めてこんな作者どこから見つけてきたんだと驚かされる。背景スタッフが優秀なのも大きいのだろうけど、それにしても素の画力とネームセンスが新人離れしている。そこに原作の魅力を存分に引き出したキャラとほぼリアルタイムに反映される「中の人」達のエピソードが渾然一体となるので、連載そのものにライブ感が生まれているのも「ソーシャルゲーム」のメディアミックスとして面白い。

 最初は小学館のゲッサン掲載でどうなるかと思ったけど、そのメジャーな雰囲気もミリオンには似合っているし最近は表紙やカラーも増えていて雑誌内での立場も固まってきていると見ていいのかなと。

 で、今回のメインの話題はそのゲッサンの編集長が古巣である週刊少年サンデーの編集長へと異動となり、改革に大鉈を振るう宣言を出したという話……をしようかなーと思っていたのですが、「コミックナタリー」に出たインタビュー記事を読みながら「別に、これといって言うことないな……」と感じてしまった。

 

natalie.mu

 それは「文句のつけようがない」という意味でもあるし、「特に驚いたりするところもない」という意味でもある。

 基本的に、今回の市原新編集長の言っていることって、ごく常識的な「当たり前」を再確認しているだけで、何か新機軸を打ち出しているわけではないと思うんですよね。

 新機軸や奇策というなら昨年の「新連載55連発」であるとか、「裏サンデー」の挑発的な宣伝だとか更にちょっと前の「増刊&WEB島流し作戦」だとかの方がよっぽど、とにかく何か新しいことをやらなければという切迫感は伝わってきた。

 しかしそれらがほとんど不調に終わったので、今回は本当に最後の一手として「王道回帰」を謳っている。

 

 新人を育てます。

 ベテランと大御所を厚遇し雑誌のカラーを整えます。

 全てのマンガ作品に編集長が目を通し全責任を負います。

 

 どれもこれも非常に正しく、それこそ言うことはないんだけど、けどそれは結局「今まで当たり前のことができなくなっていたので直します」という話であって、それをこう大上段に、読者に対して大々的に発表してそれが話題を呼ぶという状況自体がそもそも深刻極まりない事態なんじゃないかという気がしてしまう。

 市原新編集長はゲッサンの実績を見ても確実に才能と熱意に溢れた編集者であり、方向性も舵取りも間違っていない。だから文句はないし大きな期待もある。

 けど正直、ここまでボロボロになってしまったサンデーという船で、ますます荒れ狂っていくマンガ雑誌業界の海にただ船乗りだけ優秀なものに入れ替えて漕ぎ出したとして、それは自殺行為にならないか? という懸念はとても強い。

 

「これから1、2年で、『マンガ雑誌というのはここまで変わるのか』という変化を見ていただきたいですね。とにかく、サンデーは大きく変わります。」

 

 とインタビューは締めくくられているのだが、たぶん多くの人が「二年」は長過ぎると感じるんじゃないか……週刊少年誌の変化のサイクルを考えればそれが最短なのは重々承知のうえで、それでも今の時代に「二年後」が果たしてどんな状況で存続しているのか想像が追いつかない。

 あと、マンガそのものが軌道に乗ったとしてもそれをメディアに乗せて拡散させていくには更に時間と準備がかかるわけで、そういったメディア戦略まで新編集長が単独で見るのはさすがに不可能ではないのか? そういった展開を支える参謀格はちゃんと存在しているんだろうか?

 今のサンデーの不調って実はマンガの出来よりもそっちの弱さが露骨に出てしまっている気がしてならない。だからそっちに多少なりとも通じていた「例の人」を長らく切れなかったわけだろうし……。いや今期のアニメ「境界のRINNE」と「電波教師」の放送時間丸かぶりは本当にヒドい話だから!! 二大看板だった「メジャー」と「コナン」被せた時から進歩がまったくないってのも含めてヒドい。

 

 ともかく、二年後の成功が本当にあるのかどうかなんてわからないので、今回の宣言の真の意味合いとしては「秋から始まる激動をスキャンダラスに楽しんでもらっても構いませんよ」という、それはそれで下世話ななりふり構わなさの表明で、むしろ宣言の内容自体よりもそっちの体当たりな覚悟の方に期待を寄せるべきなのかも知れない。

 何が切られて誰が呼ばれてどんなおかしなものが出てくるのか、そういうエンタメ性も込みでマンガ雑誌の楽しさを取り戻してくれるなら嬉しい。

 

 ……個人的には、まず何よりも雷句誠と和解してくださいとしか本当に特に言うことはないのですが。

 適当に終わり。