へたブロ~下手の考え休むに似たるのはてブロ~

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(TVK)ぼくらの #24(終)

テレビアニメ『ぼくらの』DVD Vol.4
最期の戦いを務めるウシロと、戦いを語り継ぐカナを描いた最終回。
ウシロの三十時間を超える戦いの様子は、
仲間達のことを思い出しながら死力を尽くす姿に
今まで積み上げてきたものの重みが良く出ていたと思う。
ただ、思い出すなら全員思い出してあげて欲しかったけど・・・。
この戦いと競争社会の現実を重ね合わせて、
「相手に同情なんかするな、同じものを賭けているんだ」と
ウシロ父に言わせたり、エピローグで命を奪うことについて語らせたり、
最終的にアニメスタッフやはりジアースや戦いのことを
子供達が大人社会に揉まれていくことの比喩として受け取り
テーマとして昇華する方向に進んだのかなという印象。
描写の出来の良し悪しや方向性自体の妥当性はともかくとして、
最終回できちんと主張を明確に発してくれたことには納得がいった。


序盤は原作とそれをどうにか再解釈しようとするアニメオリジナル要素が
緊張感を孕んで並び立っていたことが上手く機能していたのだが、
中盤の完全オリジナル展開に入ってからはそのバランスが崩れてしまった。
終盤はまた原作要素に向き合うことでバランスはある程度戻っていたので、
余計に中盤の・・・具体的にはヤクザネタの扱いが惜しかったなぁ。
これは原作に対する監督の姿勢が招いたことなのか、
いつも通りにGONZOの原作クラッシャー能力が発動しただけなのか・・・。
どちらにしろ、原作の持つ独特の強度を超えるにはパワー不足だった。
特撮的で重量感のあるジアースの描写や声優陣の演技など、
目を見張る要素も多く傑作になれる可能性を随所に感じさせていただけに、
結局空中分解しかけたのをどうにか軟着陸させましたといった
イメージで終わってしまったのは本当に残念。
個人的に森田監督や副監督の川畑えるきんには、
もっと自分に合った題材でリベンジを挑んで欲しい。