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【デレマス2nd速報感想】アイドルマスターシンデレラガールズ第20話、わからない……わからない……わかりません!!

 

 

 前日、嵐がやってくると書いた。その通りだった。

 このブログの最初の「デレマス考」記事でこの物語は鏡合わせの反転・反復を基調としており再び1st6話7話のような挫折と再起の話は必ずやってくると書いた。その通りだった。

 島村卯月の本質は空っぽだとも書いた。その通りだった。

 渋谷凛には選択の時が訪れるとも予想していた。その通りだった。

 本田未央こそがCPの中心でありいずれは「王」への道を踏み出すのだとまで自分は確かに予想していた。その通りになってきた。

 あと、キービジュアルでラブライカ側にだけ文字盤がありアナスタシアが端に立っているのが気になるだとか、スターライトステージの第三弾PVに出てきたユニットはネタバレなんじゃないかとか、そういうことも書いてきた。その通り、それらは全て意味のある伏線だった。

 予想通り、想定通りに物語は最終局面に向けて動き出した。準備は整っているはずだった。覚悟はとっくにできているはずだった。

 なのに――

 

「本田未央、本日よりソロ活動始めます。よろしく!!」

 

 はいいいいいいいいいいいいいっ!!????

 

 いや、マジで絶句したわ。

 全部予想通りのはずなのに、その予想していた展開のどれもを余裕でブッチ切って斜め上への大気圏突破していく、まさしく「りゅーせー」!!

 そうくるんだって衝撃と、そこまで一瞬で進むのかっていう驚きと、この瞬間に今まで溜め込んできた準備の全てが無化されたという絶望に言葉を失った。

 今回、この本田未央の宣言を持って何が終わり何が始まったのかというと、

 

ここから先は未知の時間である

 

 という、「魔法が解ける」その時が思いもよらない形でいきなりやってきたということなのではないか。

 もちろんこの物語における「魔法」には複数の意味合いがあり、特に島村卯月にかかっている「魔法」が解けるにはまだ少し時間がかかるのかも知れないが、ともかくここで本田未央の魔法は確実に解けた。彼女自身が己の意思で解いた。

 次回、恐らく詳しい説明があるはずだがあの庭園でPと美嘉が未央と話し合った事実が重要で、何故ならその二人こそが未央にとっての「魔法使い」だったからなんだよね。あの三人一緒のフライドチキンの魔法を一人で先に解いてしまった。誰よりも遅れてやってきたはずの本田未央が、真っ先に……。

 そしてこれを持って、「反復と反転」「韻を踏む」ことでかなりの「先読み」を許容してきたアニメ「シンデレラガールズ」の構造そのものが変わる。

 反復演出自体は続くであろうし、まだ意味深な伏線もいくつか残っているので完全に読めなくなるわけではないのですが、しかし本質的な部分でこの物語はここから「繰り返し」を突破して未知の領域に踏み込んでいくことは確実で、そこには地図もコンパスもない。前人未到の荒野を手探りで進むのみ。

 アイマスだからこうなるとか、アイドルアニメならこうするはずだとか、シンデレラガールズの今までのパターンがこうだったからとか……そんな甘えはもう一切通用しない!! わからない!! 未来のことなんて誰にもわかりません!!

 

 よく考えると2nd入ってからの「先輩編」が基本構造は同じことの繰り返しで、時計の針も実は同じ時間を繰り返していたというのがそもそもそういうことだったんでしょうね。前に進んでいるようでCP自体は「何の為にCPを守りたいのか」という理由付けが欠けていて、しかし「先輩編」を通じて新たな可能性(ヒカリ)だけは大量に集まってきていたので当然の帰結としてCPの発展的解消を招く。

 この辺り、前半メインルートを終えたあと同時間軸上の個別サブルートが複数出現して、それらを全てクリアすると前半ではまるで楽園のように機能していた世界観の欺瞞が露わにされて最終ルートが浮かび上がってくるという、ギャルゲー・エロゲー黄金時代のシナリオ作法にやはり似ている気がする。

 とにかく、ここからが「本題」!!

 そしてその本題は、こちらの覚悟を嘲笑うかの如く苛烈でえげつない、スパルタ極まる展開を見せそうな予感だけはビンビンする。今回の「NOMAKE」なんてアイドルアニメの補完エピソードじゃねーよこんなの!! Pの飲む346のコーヒーは苦い!! お前も、お前も、お前も、シンデレラの為に死ねッ!!

 

 ええ、というわけでもう考察ブログの出る幕なんてないんですが、一応それでも「シンデレラガールズは明るく楽しいアイドルアニメなんだぁ~、俺が死ぬわけねぇ~、俺は死なねえんだぁ~(ドーン)」「コ、コチャックーッ!!」みたいな悲劇を回避する為にも現状は正しく把握しておくべきでしょう。我々はPとは違う、奈落に落ちたらそれまでだ!!

 

・プロジェクトクローネについて

 

 「クローネ」はドイツ語で王冠の意味なんですが……通貨名でもあるのが何かちょっと、ちひろさん常務に何か吹き込んでませんか疑惑が。

 しかし常務はずっとアイドルを「お姫様」と呼んでいたので「王冠」の名称は意外だった。むしろ「王冠」はCPが灰かぶりやお姫様であることを超えて自分のヒカリを手にした時の象徴として機能するのだと思っていたので、常務サイドに先を越された印象もある。

 いや、事実先を越されているからこうなっているのか。

 今回の常務の言い分は全面的に正しくて、Pの矛盾を的確に突いていた。まあCPの方針には手を出さないけど査定クリアしないと駄目だよっていうのは大人のズルさではあるが、会社事業なんだからそこは仕方ない。

 アナスタシアと凛に結果的に新たなヒカリを与えたのは常務なので、ここは素直に常務の方が今回は「魔法使い」として上手だったと言える。

 「MJ」について当初、美城女王=社長ではなく美城常務だったから予想が外れたと書いた記憶があるけど、アイドルに王冠を与える役目が出てきたことからするとやはり「女王」のニュアンスもあるのだろうな。

 いじわるな継母であり、気難し屋の魔女であり、「何か」を待ち続ける女王様でもある。……ますます面倒くさい人だな常務!!

 

 クローネのメンバーは、鷺沢文香をここまで温存していた効果が非常に高かった。アナスタシアと鷺沢文香は初登場から一気にブレイクしたCool属性を代表する「シンデレラガール」である点が共通していて、だからこそ鷺沢文香にとってのクローネが1stの頃のCPとまったく同じ役割を果たしていることが伝わりやすい。

 御仕着せの素敵なドレス、有名な一流に用意してもらった最高の楽曲、アイドル自身が追いつけないほど高速化されたプロデュース、全てはCPが(特にNGsとラブライカに対しては)ずっとやっていたこと。

 

高垣楓や木村夏樹が否定し、城ヶ崎美嘉を苦しめたやり方こそ、CPの本質

 

 そこに最初に疑問を投げかけていたのが他ならぬ新田美波で、アナスタシアはそれを自分なりに消化してPにぶつけ、Pもそれを認める。

 あの新曲については蘭子の具体的なエピソード(小梅編が削られた?)が抜けているのでまだ真価を発揮していない気がするのだが、Pが自身とCPの在り方を再度見つめ直して他のメンバーにも自主独立を促していくのなら、蘭子とのやりとりはぜひ見たいんだけど、そこまでやる余裕があるのかどうか。

 

・トライアドプリムスについて

 

 ハッピーセットになってるフルボッコちゃん人気とは一体!?

 正直、自分の予想ではもっと穏便な形でトライアド結成まで持っていくと思っていた。

 たとえば、奈緒加蓮が凛だけではなく未央卯月やP達にも直接頭を下げて、どうしてもデビューしたいから凛を貸してくれという話になって、凛が漢気を発揮してじゃあ三人で常務の支配する秋フェスにカチコミかけてやろうぜ!!――というような。

 しかしそうはならなかった。加蓮は凛が悩むことを知っていて、そしてあれだけ世話になったNGsに迷惑をかけることを百も承知でそれでも自分の夢の為に凛を試すという恐ろしく生々しい行動に出た。あの敬語って、そっちの意味かよ!! 敬意を払っているという以上に、まだ他人だから、距離が遠いから、裏切れる。そんな女のリアル!!

 けどそれで加蓮を嫌な子だとは、アニメが加蓮を貶めて描いているとはとても思えない。それは……そうなんだよ。加蓮の必死さを考えれば、それはそういう行動に出るしかない。あの歩道橋の階段を決然と登っていく加蓮はカッコよかった。対する凛が同じ階段を登りながら迷いを捨てられないのとは対照的に。

 凛は今回、かつてないほど情けない。

 答えはすでに出ているくせに「わからない」と、Pに甘えて拗ねた時とまったく同じ反応を支え合うべきNGsに対して返してしまった。この凛の「わからない」と卯月の「わかりません」の、中身の違いがよくよく考えると本当に怖い!!

 渋谷凛というキャラの武器は常に客観的で誰とでもフラットに接することができる点にあるのです……が。今回それが弱点でもあると容赦なくあばき立てている。

 誰とでもフラットに仲良くなれるということは、特別な誰かを作らないということで、つまり実は渋谷凛にとって「NGsとトライアド」は最初から等価でしかない。

 NGsが大事だって言葉はそう思い込もうとしていただけで、本当は違う。ちょっと蒼い感じのいい歌に誘われたらホイホイ付いていってしまう程度にしか、渋谷凛はNGsに「思い入れられていなかった」。少なくとも未央ほどの切実さはなかった。中途半端なまま何となく楽しいからとズルズルここまできていた。その卑怯さが今回の騒動の根本原因にある。

 前回が李衣菜の浮気回だったのが構成としてやはり意識されているのだと思いますが、まさか李衣菜の方が男らしくて凛が女々しいって対比になるとは……。

 ところで、常務はどこから「トライアドプリムス」って名称を出してきたんだ? それもプロに頼んだのか中二全開で自分で考えちゃったのか。

 

・島村卯月トゥルーエンドについて

 

 最後に、この予想はもうほとんど当たる可能性なくなったなという感触を得たので書いてしまうが、自分が今まで想定していた島村卯月のストーリーの大オチというのは、

 

島村卯月が「普通の女の子に戻ります」と宣言する

 

 要するに「引退エンド」でした。

 各要素をピースとして当てはめていくと、もう「それしかない」レベルでその答えが導き出される。

 

・アイドルものにとって「引退」を扱うことは必須事項。

・アイマスもアニメにおいて星井美希、秋月律子、如月千早、音無小鳥、劇場版での矢吹可奈、そして本田未央と「アイドル辞める」問題を繰り返し扱っている。

・実はアニメ24話で天海春香に降りかかっていた問題も本質的にはそれだったのだが、春香さんにとっては「765プロは家族」であり、辞める辞めないの問題になり得なかった。家族を、血の絆を「辞める」ことはできないから。劇場版もその流れを汲んでいるので、あの行動と演説がある。

・なので、島村卯月が「天海春香」という存在にカウンターを食らわせ「シンデレラガールズ」がアニマスとは違うフィールドに立つ為には、卯月がアイドルを辞めてしまうのが一番手っ取り早い。CPの解体=家族の解体=共同体からの自主独立。

・それに向けての準備も周到に整えられていて、最大のものは島村卯月が最高の笑顔を見せていたのは第1話の「アイドルになる前」だというのがある。

・Pが「笑顔」を求め続け、卯月がそれに応えようと考えた時、つまりは最高の笑顔を取り戻す為には第1話時点に立ち返るしかない……というブーメランの罠がず~っとこのアニメには張られている。

・更に常務が求めているアイドル像も「かつて芸能界に見られた神秘的な存在」としてのアイドルであり、卯月がラストステージで「普通の女の子に戻ります」すれば伝説となってその要件を満たせる。そして常務の理想となった卯月が離れていくことで常務は自身の理想に敗北する。

・童話、御伽噺モチーフとしても「行きて帰りし物語」の典型に回収される。普通の女の子は魔法をかけられて素敵な世界を垣間見て、けど魔法は解けて現実に戻る。だがそこでの行動は何かしら世界に影響を与えていて、たとえばおかげで呪いの解けた車輪さんが王子様になってまた迎えに来る……なんてエンディング。

 

 しかし、さっき書いたようにもうこのトゥルーエンドに向かう可能性はほぼない、と思う。

 何故ならばこれはあくまで「島村卯月ルート」の想定される帰結であって、複数のルートが複雑に絡み合う「シンデレラガールズ」全体の総括にはならないから。

 「シンデレラ」だけならなくはないが、この作品は「ガールズ」なので。

 今回、いち早く「本田未央ルート」が動きを見せたことで恐らくはビリヤードの球のように各要素が影響し合い、他のルートにも変位が生じるはず。

 自分は島村卯月トゥルーエンドを回避する手段があるならそれは小日向美穂と緒方智絵里(あるいはデウス・エクス・マキナ的に現れる五十嵐響子)が作用しての「ピンキーキュート」結成路線しかないかなと思っていたのだが、本田未央がソロ活動を宣言したことでそれも怪しくなってきた。

 小日向美穂と日野茜がフライドチキンを引き出したという最大級の伏線も、未央が魔法を解いて「ポジティブパッション」に向かわないならもう機能しないかも知れない。今回、わりと意味深な小日向ちゃん日野ちゃんの描写も多いので、何かしらまだ役割はあるのだとは感じるんだけど……わからない、わからない、わかりません!!

 

 とか何とかで今回、自分としては溜め込んでいた考察アイディアのたぐいはほぼ撃ち尽くした。もう何も残っていない。ここから先は風来のシレンのようにその場その場で何か拾って生き延びるしかない。アイドルサバイバルの開幕だ。

 最後にもう一つだけ付け加えるなら、この先の展開において「もう◯話しか残ってないからこんな展開はしないだろう」という予断は持たない方がいい。

 はっきり言うが、スタッフの偉い人達はみんな十周年と怒涛のイベントラッシュで頭がおかしくなっているので、何をしでかしてもまったく不思議ではない。

 現状ですらNOMAKEとドラマCDとラジオとニコ生とリアルイベントをフル活用してシナリオの不足ぶんを埋め合わせるという無茶を平然と行っているわけで、こうなったら「完結編は劇場版で」とおのれディケイドするかも知れないし、いきなりネット配信で数話付け足しますと化物語するかも知れない。

 大体にして、何で塩見周子と橘ありすが揃ってアニメに出てこられるんだ!? 二人が首位を競ったボイス争奪選挙って昨年末だぞ!? その二週間後くらいに1stの初回放送だったんだぞ!? 三ヶ月の謎の空白があったにしても、そこからシナリオ直してねじ込んだの!? そんな危険な判断をまともな大人がするわけない!!

 ついこの間発売された第四回総選挙CD収録の「つぼみ」がアレンジBGMで流れているのも大概おかしいし、このアニメは魔物だ。正体不明の怪物だ。だから惹かれる、その魔性に。

 わからない……わからない……もう何もわかりません……。