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仮面ライダーW #49(終)

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最終回。フィリップが消えてから一年後、仮面ライダージョーカーとして一人戦い続ける翔太郎が姉を探す少年の依頼を受ける話。
今までの総決算であり、また未来に繋がっていく姉と弟の物語と並行する形で若菜のその後も語られていく構成になっていたのだが、そこにトリックを仕込んでくるとは単純に驚かされた。
あの仕掛け、最大の罠は照井の回復力の凄さだ!! 一年で再建された風都タワーの使い方も上手かった。街というテーマにも見事に合致しているし、最後まで脚本構成に一切乱れのない終わり方だったなぁ。
フィリップが復活する展開についても、懸念されたような翔太郎の成長を台無しにする形にならないよう細心の注意が払われていて本当に三条陸に抜かりなしって感じだった・・・。
ライダーパンチ、ライダーキックで締める辺りもシリーズファンの思い入れを燃えに活かす三条陸らしさが良く出ていたと思う。
何だかんだで、これほどの大団円を見せられてしまうと文句なんて一つも出ないよなー。ここまできれいな最終回、平成ライダーに限らず近年のあらゆる物語のなかでも観たことないくらいだ。
全体としても世界観・テーマ・キャラ・ストーリーとあらゆる点でやるべきことが極めて明確に一貫していて、安定感抜群だった。まさか平成ライダーで安定感なんて言葉が出てくるなんて、決して浅くはない十年の歴史を考えると改めて凄いことだと思わされる。
勿論これは三条陸一人の功績ではなくスタッフ&キャスト全員の意思統一が素晴らしく取れていたということだと思うけど・・・よくぞまとまったよなぁ、ハードボイルドなんて指針で。
それと、これだけコンセプトがガチガチで、かつ子供受けしなさそうな題材だと今まではオモチャの売り上げが悲惨なことになって途中で路線変更という憂き目に合うのが通例だったのに、商業面でも大成功だったのが非常に重要。
この十年、何となく作品性と商業的成功はイコールで結べないんじゃないかという刷り込みが出来ていたもので、この作品の成功は特撮の未来に向けても極めて大きな意義を感じる。やることやれば、ちゃんと現代の子供達もついてきてくれるのだ・・・!!
ただ一つ個人的に気になる点として、この作品のヒーロー観が「身近な人との絆を武器に街を守る」、いわば地元の自警団的なスケールで収まっているという問題がある。
最近ヒーローものに限らず、ヤンキー系でも日常ほのぼの系でも美少女萌え系でも、地元密着で狭くて居心地の良いコミュニティでまったりするのが正義という作品が非常に多いのだが、この作品もそういう系譜のなかでの成功作になるのだろうかと少し考えてしまう。
別にそれが悪いわけじゃないんだけど、平成ライダーシリーズというのはほとんど絶滅危惧種みたいな「孤独なヒーロー」をそれでも追い続けていた歴史があるので、その結果「二人で一人」に辿り着いて新たな時代を迎えるのだとすると・・・ちょっと寂しいというか。
そういったヒーロー観については、「オーズ」がどう受け継いでくるかかなぁ。
ともかく一年間、本当に楽しかった。スタッフの皆様、お疲れ様でした。