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鋼の錬金術師 シャンバラを往く者

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TVシリーズの後日談を描いた劇場版。
冒頭が番外編テイストのエルリック兄弟紹介編になっていたり、
OPがDVDジャケ絵を利用してのTVシリーズ回想になっていたり、
初見でも付いていけるよう配慮はされているものの、
あらゆる意味でやはりTVシリーズ完結編と位置付けるべき作品。
序盤の、ジプシーに対する差別とドイツを取り巻く政治状況の描写は、
徐々にテンション上げていったTVシリーズの流れを受けて入らないと
重過ぎて潰れそうになる・・・。TV版において現実の比喩として
描いていたイシュバール問題が、今度は逆転してジプシーやユダヤ人への
差別問題へと置き換わっていく。この虚構→現実→虚構→のメタ構造が
この作品最大の特徴で、最後にはこの映画そのものがメタ化する。
TV版ラストで打ち出した世界観の仕掛けを存分に利用した
実に野心的な構造で、全てが上手くいっているわけではないものの、
こういうことをやってしまう当時のスタッフの勢いには圧倒されるなぁ。
ドラマ的には、現実側を代表するアルフォンスとノーアの存在感が秀逸で、
この二人との短い日々がエドにとってTV版で描かれてきた
それまでの人生全てと比類するものであるときちんと示しているのが見事。
ここに説得力がないとエドの最後の決断が嘘臭くなってしまう。
それでも、尺的にはかなりギリギリだったようには思うけど。
錬金術世界側のキャラは、サービス的に大活躍していて、
そこも新キャラと旧キャラで対比になっているのが面白い。
そして旧キャラの代表であるウィンリィは取り残されていくと・・・。
構図としては納得出来るけど、単純にウィンリィ可哀想過ぎ!!
TVシリーズの総括と、劇場版ならではの新たなる試み、
それを両立させようとしてやはり無理が出ている面もあるのだが、
ある程度は成功させてしまっているのが恐ろしいところで、
まさに「ハガレン」が起こした奇跡の集大成といった印象。
作画的にも地味な芝居から派手なアクションまで
多岐に渡って見せ場が用意されていて満足度は高かった。
あのラストについては賛否両論あるんだろうけど、
ウィンリィのこと以外はおおむねハッピーエンドなのではないかと。
ただしそれは、現実と戦い続けるという決意を持ったハッピーエンド。
永遠にエルリック兄弟は自らの罪と責任を背負って戦い続けていく、
それこそが彼らの幸せなのだという、厳しくも優しい結論がそこにある。