Angel Beats! ＃１３（終）

Angel Beats! 4 【完全生産限定版】 [Blu-ray]　Angel Beats! 5 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
TVアニメ「Angel Beats!」オリジナルサウンドトラック
Girls Dead Monster OFFICIAL BAND SCORE Keep The Beats!(期間限定生産盤)
残った面々で卒業式をやったあと、やっぱり天使と二人だけで
この世界に残りたいとか言い出した音無に真実が告げられる最終回。
TKをはじめとした他のメンバーが過去の事情どころか
成仏の様子すらカットされて終わりとかあまりに扱いヒドい！！
TKは何故TKだったのか、浅はかなりは何が浅はかだったのか、
クライストはラスボスの座をカヲル君に奪われてどこいったのか、
野田はゆりっぺの寝顔をオカズにしただけで逝ってしまったのか、
あまりにも謎が多過ぎて妄想が広がっていくせいで、
むしろ他のメンバーについてはこれで良かったのかとも思えるけど・・・。
その代わり、卒業式の様子は笑いあり涙ありでじっくり描かれていて、
この物語の総決算としては素直に納得の出来る内容だった。
直井は緒方恵美の演技もあって実においしいキャラになってしまったなー。
ゆりが完全にヒロインポジションから降りていた件については、
前回でゆりは問題を自己解決してしまったので当然ではあるのかな。
そしてラスト、いきなり天使を選んでしまった音無がフラれて終了。
これに関しては単純に「天使の鼓動」というタイトル種明かしが上手かったのと、
ある意味「誰かを救いたい」というラブコメ主人公的な業に囚われた音無を
天使が容赦なく断罪して終わっているようにも観えるのが凄く興味深かった。
シンプルに生と死、人生の大切さをテーマとして語っているのは間違いないのだが、
それと同時に凄くひねくれた裏テーマが巧妙に見え隠れしていて、
どう表現したら良いのか適切な比喩が思い浮かばないんだけど
ジャイロ回転のかかったど真ん中のストレートっていうか
無回転で真っ直ぐ蹴り出されたがゆえにゴール前で揺れるブレ球シュートっていうか、
とにかく物凄く誠実に純粋に混じり気なく送り出された作品に見えるんだけど
その「実直」に辿り着くまでに膨大な紆余曲折があったのであろうことが感じられて、
それが完成形に絶妙な綾を生み出している・・・ように思う。個人的には。
正直、本当に訳がわからない作品としてまとまっているんだよなー。
使い切れないほどのネタをぶち込んでそれらを未消化にしたまま
本筋の物語を強引にでも進めていくという手法に関しては
「ガンダムSEED」から「コードギアス」に繋がった近年のトレンドなので
そんなに珍しいわけでも困った作りってほどでもないはずなんだけど、
この作品に関してはそういうアニメ文脈だけでなく麻枝准が持ち込んだ
美少女ゲーム文脈が複雑に絡んでくる為に安易に文脈読みをすると混乱する。
かといって普通にキャラ萌え感動もの路線で観た場合、
あらゆる面でクオリティ的に中途半端という印象は拭えない。
しかしそういった分析を度外視して何か不思議と楽しい作品だったのは確かで、
その楽しさが何に由来するのか上手く言語化出来ないのがモヤモヤする。
・・・仕方ないので自分としてはこの作品、岸誠二作品として理解した。
つまり「マジカノ」「瀬戸の花嫁」「サンレッド」なんかと同じく、
延々とお祭り騒ぎを繰り返した末に最後はちょっとしんみりした王道に落とす、
あの感じがそのまんまギャグに泣きや謎を含めた形で再現されたんだろうと。
そう考えると監督に岸誠二を持ってきたのは当たりだったんだろうな。
ともかく、色々あったけど観ている間は充分に楽しませてもらった。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。