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氷菓 #22(終)

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TVアニメ 氷菓 ドラマCD2
生き雛のお祭りで奉太郎と千反田が地元民公認カップルになる最終回。
狂い咲きの桜をバックにした美しい背景描写、千反田のヒロイン力を極限まで高めるお雛様コスプレ、地元民役で次々出てくる超豪華ゲスト声優陣と、色々とスペシャルな最終回仕様。
単純にクオリティの高さとラブコメの熱量が頂点に達したところで終わる構成が素晴らしく、それだけでも充分に感動的な出来栄えだった。
ただ個人的には、ここで裏テーマとして「地方都市で生きる若者の現実感」みたいなものがクローズアップされたのが凄く刺激的だったなぁ。
千反田のあの、地域に根差して生きていくしかないことを噛み砕き噛み砕き受け入れている一種の狂気に似た覚悟には圧倒された。
今回の件だってそもそも、確実に千反田には奉太郎を地域社会に紹介して既成事実作っておこうという策謀があるよね!?
腹黒く計算しているわけではないとは思うが、ごく自然にあの土地に生きる女としてそういうことを早めにしておかなければならないという感覚が千反田にはある。それが筆者のような地域と隔絶して生きている者の目には超怖い!!
しかしそういう居場所や小さな人間関係から将来を選んでいく感覚はとてもリアルだし、また現代的なんだろうなとも思う。
夢は武道館ライブだとか言いつつ学園祭やって普通に大学に進学する「けいおん!」にも若干そういう匂いはあったけど、今作は更に一線踏み越えてきた印象あった。
全体としても、ミステリとして考えると浅く甘い部分が目につき奔放なイメージ演出にも無理を感じることが多かったのだが、青春ものとして見た場合のバランスの良さは突出したものがあった。
あくまで日常感覚の積み重ねのなかで葛藤を引き出していく節度のある脚本演出が見事。
武本康弘にしろ賀東招二にしろあるいは音楽の田中公平にしろ、派手好みに見えるスタッフ陣容でありながら渋く丹念に作り込んでいたのが興味深い。
また新味のなさを感じた声優陣も、だからこそ芝居の深みが増していて結果的には正解だったなぁ。特に中村悠一阪口大助のコンビにまだこれほどの可能性が眠っていたとは驚いた。
とにかく、いろんな意味で「大人になりつつある京アニ」を意識させられる作品だった。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。