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(新)RDG レッドデータガール #1〜12(終)

RDG レッドデータガール 第1巻 [Blu-ray]RDG レッドデータガール 第2巻 [Blu-ray]RDG レッドデータガール 第3巻 [Blu-ray]
「空色勾玉」シリーズやアニメ化された「西の善き魔女」などで知られる原作者の小説を、角川文庫創刊65周年記念作としてアニメ化。
監督:篠原俊哉、シリーズ構成:横手美智子、キャラ原案:岸田メル、キャラデザ&総作監芝美奈子、制作:P.A.WORKS
P.A.WORKS作画でキャラ原案に岸田メルを起用しているので、見た目が非常に「花咲くいろは」っぽい。ついでに主演が早見沙織なんで「TARITARI」っぽくもある。
しかし内容は極めて端正、かつ抑制の利いた作り。NHKアニメのような手触りがある。
第一話は特にヒロインの置かれた境遇と、そこに現れた異物である男子との関係をゆったり見せていく話になっていて、かなり地味。
男子の好感度が最悪の状態から始まるもので、恋愛ものとして見ても先が読めない不安感がある。
ただ、作画や背景の巧緻な出来はさすがのPAクオリティでそれだけでも画面が持ってしまう印象。
大自然の神秘性と、ヒロインが電子機器に触れた際の不可思議な描写とのギャップも面白かった。


2話〜3話はイジメっ子かと思ったら極度のツンデレだった深行くんと仲良くなっていく話。
二話目にしていきなり異能バトル要素が強くなり戸惑っていたら、三話でヒロインが覚醒!!
初回のおとなしさは逆に引っ掛けに近いものだったんだな・・・。
修学旅行で東京に行き、男女で逃避行する三話目は特にラブコメ度も急上昇で楽しかった。
また、最強の味方のようでもありラスボスのようでもあり、はたまた三角関係の相手のようでもある深行パパのキャラ設定が非常にクセが強くて興味深い。
福山潤の策士っぽい喋りといい、こんなに怪しいイケメン親父は初めてだ・・・。
そこに直情型で突っかかる内山昂輝の深行とのバランスも面白い。


4話からは学園編に突入。いきなりルームメイトと陰陽師のいざこざに巻き込まれることに。
水子の認識に合わせているにしても、学園の裏で繰り広げられているらしいオカルト権力闘争の構図がわかりにくい。
陰陽師が良いとこの坊ちゃんで悪役なのはともかく、ルームメイトの設定が妙にややこしくて混乱する。
三つ子のうち一人が死んでいてそれが守護霊化している・・・まではいいとして、その三つ子がころころ入れ替わったり家の事情が次々出てきたりするんで、油断すると付いていけなくなる・・・。
また生徒会が中立の調整役を担っているんだけど、敢えてそこに泉水子達が入り込むという理屈もちょっと呑み込むのに苦労した。
普通、そういう場合は素直に生徒会が敵になるものなんじゃないのかと。
話の泉水子の化粧と舞踊は、そういった女性のたしなみがそのまま姫神降臨に結びつく泉水子の特殊性を如実に表していて見応えあったな。化粧ケバ過ぎだったけど・・・。


6話からは三つ子の実家編。バーベキューの作画がPAクオリティ全開!!
戸隠山の観光案内作画も、聖地アニメスタジオの本領発揮な素晴らしさだった。
あと、愛馬を巡る話になるとやっぱり泉水子が乗馬登校しそうな気分になるなぁ。
死者である兄弟の魂に引き摺られているのかと思ったら、そもそも死者はもはや兄弟の霊なんてレベルの存在じゃなかったという流れは面白かった。
何かもう天狗に化けたオタ忍者と戦ったり邪霊召喚したり巨大ボスモンスターとの決戦が始まったりイケメンから黒い翼が生えてきたり、普段のまったりと霊能バトルのギャップがどんどん激しくなっていく印象。
金髪ハーフな生徒会長の日本舞踊と、泉水子の岩戸開きの舞も美しくて良かったな。岩戸開きならストリップしろよとは思いましたが。


9話は姫神が勝手に動き出して深行とデートし自身の正体を明かす話。
・・・いきなり、世界滅亡を食い止める為に時間ループを繰り返しているなんてSF設定が登場。
シュタゲというよりは「ひぐらし」の羽入に近い感じか。ただしスケールが段違い。
幾度か失敗した世界線では死んで標本にされてましたなどと、恐ろしいことをさらっと言ってくるのがヤバい。
世界遺産」というキーワードがそっち方向に活かされてくるとは思わなかったなー。
姫神のビッチぶりとそれに振り回される深行の様子も、事態の凶悪さとラブコメの落差が良く出ていて笑った。


10話、11話は本格的に学園祭編。生徒会が黒子の格好しているせいでBS11金曜夜が黒子だらけに・・・!!
国学園祭なるコンセプトが謎なのだが、通常の学園祭アニメとは明らかに異質な映像が生まれているのでこれはこれで悪くないか。あくまで和風な雰囲気を学園祭でも崩さないのは上手い。
水子が地味ながら隠れファンを増やしてきている感じとか、それに無自覚な本人と気が気でない深行のすれ違いとか、学園ものらしい盛り上げ方も無理なくハマっている。
しかしそこで陰陽師がまた懲りずにやらかしてイヤボーン発動のクライマックス展開に突入。
水子が洗脳されて陰陽師に寝取られるか、深行と真響が偽装婚約しそうになるとか、ラブコメ方面だけでも充分に熱い流れが出来ていただけに結局姫神バトルになりそうなのは少し残念。
特に泉水子洗脳ネタはもうちょっと引っ張るべきだろー!! せめて冷たい目で深行を睨みながら罵倒してくれないと・・・!!
まあ早見沙織の罵倒成分については陰陽師がご褒美もらってたんで良しとするか・・・。


最終回。犬柳さんと一緒に桃太郎が落ち武者無双してラブコメハッピーエンド。
さ、最後の最後まで一体何のアニメだったんだこれは・・・!?
とにかく最終回にしてリアル犬畜生と化した高柳が面白過ぎて困った。何でこんな隠し玉をここで出すのよ!?
ラスボスが真澄になったのも、色々と伏線があったとはいえ結構意外な印象を受けた。まさかガチで泉水子に惚れていたとは。
しかし、おかげで霊能と日常を天秤にかけるテーマの消化や泉水子と深行のラブコメオチに違和感がなくなっていたので、遠回りの果てにわりと良い場所に落ち着いたのかな。
深行が真響との偽装婚約を断るシーンは、ちょっとバナージっぽいカッコ良さだった・・・。
作品全体としては、PAらしい丁寧な映像には毎回目を見張ったものの、最後まで地味なくせにわかりにくい展開が足を引っ張っていた感じ。
原作準拠でやるにしても、もう少し噛み砕いた見せ方があったのではないかと思う。無理に原作を動かしてしまうとこの静謐な世界観が壊れる懸念があったのかなぁ。
確かに相当難しいバランスで成り立っている作風なんで慎重にやるしかなかったのかも知れないが、学園パートを膨らませるとかもう少しキャッチーさを増しても良かったのではないかと。
あとはやはり、早見沙織には巫女キャラが似合うと再確認。最近は激しい役も増えているが、清純路線もまだまだ強い・・・!!
スタッフの皆様、お疲れ様でした。