魍魎の匣 #13(終)
魍魎の匣 第三巻 [DVD]
大晦日、人々を彼岸に誘う魍魎を、花火のように散らして落とす最終回。
前回から引き続き京極堂の語りによって全体像を異形のものへと
変容させていくこの事件の、まとわりつくような不気味さが
実に恐ろしくまた妙に心地良い・・・!!
Aパートで伏線回収と物語のテンションを最大にまで高め、
Bパートで聞かなきゃ良かった最悪の真実を突き付けながらも
最後には不思議と爽やかな余韻を残して終わる。
いや、この世に不思議なものなどないのだから、
それこそが全て理に適った構成というものなのだろうが・・・。
美馬坂の狂気と陽子の許されざる本心が露わになっていく
クライマックスの流れは声優陣の演技が素晴らしかった。
匣と自分の境界がわからなくなっていく久保の様子は、
さすがに尺が足りなくて描写だけだとわかりにくかったのだが、
古谷徹の説得力がそれを見事に補っていたなぁ。
原作と違うラストの花火についてはかなり困惑させられたのだが、
映像的には憑き物が落ちたことを非常に明快に示していて美しかった。
解釈としては・・・実際に花火が用意されていたとも思えないので、
木場をはじめその場に集まった人々の脳髄の鏡が写し出した
幻視だったということなのだろうか?
最後のテレビの喩えがそのままこのアニメの存在に
メタ的に繋がってくるところも上手く出来てたなー。
全体的にも、映像化不可能と言われ実際実写映画版も
それほど成功しなかった原作をTVアニメという匣に
みつしりと移し替えていく手際には終始感心させられた。
特に妖しさと昭和の喧騒感を同時に表現した作画の魅力は強く、
CLAMP&西田亜沙子のキャラデザが良かったのも勿論あるのだが、
毎回丁寧に作り込まれた特殊効果の美しさも印象的だった。
声優陣の語る力も存分に堪能出来たし、原作ファンとしては大満足。
まあ、アニメ単体だと人を選ぶ作品だったような気もするけど。
ともかくスタッフの皆様、お疲れ様でした。
個人的にはぜひ同じスタッフで別のシリーズも
アニメ化して欲しいのだが・・・題材的に厳しいのばっかりか?